大手企業が目指す未来

 前述のビリオンM&AがSiemens社、Stryker社、Medtronic社、Johnson & Johnson社と超大手医療機器メーカーによるものであるのは、資金力面で当然といえば当然だ。そして今回のCorindus社のM&A時のプレスリリースを読み解くと、大手医療機器メーカーが目指す医療現場の将来の方向性が見えてくる。

 Corindus社のCEOは今回のM&Aに関して、「デジタルと人工知能(AI)ツール(digital and artificial intelligence tools)」「精密ロボットプラットフォーム(Precision robotics platform)」「遠隔機能(Remote capabilities)」という言葉を用いている。当然、M&A時のプレスリリースには買収者の意向が大きく反映されるので、Siemens社が「デジタル、AI、ロボットの融合が実現する遠隔精密医療プラットフォーム」の可能性に対して11億米ドルの価値を見いだしたということが読み取れる(当然競合の動向も多大に影響しているであろうが)。

 「AI」が「遠隔」「ロボット」で手術をする。大手企業が目指している世界はそんな未来であり、それを実現するために必要なピースは出そろい始めている。

 ちなみにIT大手であるGoogle社は、手術ロボット事業にいち早く参入している。しかもヘルスケアの超大手、Johnson & Johnson社と組み、Google社が得意とするオープンイノベーションスタイルで、だ。両社は2015年3月に手術ロボット領域でのJoint Ventureを発表し、2015年8月にVerb Surgical社を設立した。約5億米ドルの資金が投資されることも発表されている。