洗練されたビルだが内部はまだ空っぽ、でも…

 一方で、Google社とJohnson & Johnson社によるVerb Surgical社のその後の進捗は順調ではないとの見方もある。そもそもプロジェクトの内容がほとんど公表されていない。

 さらに2019年2月にCEOが辞任し、同時期にJohnson & Johnson社が別の手術ロボットスタートアップであるAuris Health社の買収を発表したことも憶測に拍車をかけた。Google社とJohnson & Johnson社が巨額のリソースをつぎ込んでも、誰がやっても、新規事業創出はなかなか思い通りに物事が進まないものなのだろうか。

 あまりに公にされている情報がないので、百聞は一見に如かず、筆者はVerb Surgical社が2018年6月にリースしたカリフォルニア州サンタクララ市にあるオフィスを実際に見に行ってみた。

駐車場に向かう途中に見えた会社名(写真:筆者が撮影、以下同)
いかにもハイテク企業っぽい建物。全面ガラス張り

 高速道路からも見える看板に、近辺のオフィスビルと比較しても洗練されたビルだ。全面ガラス張りの、勤務環境の良さそうな建物の中をよく見ると、まだデスクなどはほとんど設置されていない。駐車場には作業用のトラックも多い。

高速道路からも見られる立派な看板

 オフィスをリースしてから1年以上経つが、まだ正式にはオープンしていないようだ。しかし改装作業はほとんど終わり、テナントを受け入れる最終準備段階の様子だ。近いうちに拠点をここに移して医療にイノベーションを起こしていく雰囲気は感じられた。

外で仕事できるスペースもある
駐車場からの写真。車は多数あるが、まだ工事中らしく、作業用トラックや建築関連の方たちが多い

 Google社とJohnson & Johnson社という各業界のリーダーが生んだVerb Surgical社が、満を持して実現を目指す「Digital Surgery」。洗練されたビルだが内部はまだ空っぽの同社オフィスを、「Digital Surgery」の実情を反映していると揶揄することは簡単である。時間はかかっているが、ようやく晴れの舞台に立つ準備が整ったと筆者は捉えている。

 そしてこれは欧米だけのトレンドではなく、日本ではA-Tractionやリバーフィールドなどのロボット手術ベンチャーが開発を進めている。「AI」「遠隔」「ロボット」「デジタル」と「医療」の融合が生み出す新しいパラダイムが楽しみでしょうがない。

(タイトル部のImage:Wendy Yu)