第1の狙い
Googleのスマートホーム事業展開から予想する「スマートライフ事業」
GoogleがNest Lab社を32億米ドルで買収し、スマートホーム事業に参入したのは2014年。その後Googleが2015年にAlphabetをホールディングカンパニーとした新体制導入後は、Nest Labは独立した子会社として存在していた。
一方でGoogleは、自社のハードウエアチームによりGoogle Home開発を進めて独自のスマートホーム展開を行っていた。そして2018年2月、それまで独立子会社として運営していたNest LabがGoogleのハードウエアグループに組み込まれることになり、現在Googleのスマートホーム事業は「Google Nest」ブランドで展開されている。
Google HomeとNest Labの統合に関してGoogleは、「(スマートフォン製品類が)Google Pixelと呼ばれているように、(スマートホームソリューションの)ポートフォリオはGoogle Nestと呼ばれることになる。Pixelはモビリティ、NestはホームとAlignしていく」と以前コメントしていた2。
Googleの強みであるソフトウエアを、社外でプレゼンスを持つハードウエアの買収と自社開発製品を統合し、End-to-Endソリューションを作る――。スマートフォン領域でのGoogle Pixel、スマートホーム領域でのGoogle Nestで、Googleはこうした流れを経験してきた。今回のFitbitの買収でも、ヒューマン(人体)周りで同様の展開が考えられる。
既にGoogleのスマホ用OS「Wear OS」は複数のスマートウォッチに搭載されているし、Google Assistantも活用されている。さらにGoogleはライフサイエンス領域に取り組むグループ会社であるVerily社でStudy Watchと呼ばれるスマートウォッチを自社開発し、臨床試験などに使用しているのだ。
Study Watchは心拍数、活動量計、心電図、皮膚電気活動、などのバイオメトリックデータのモニタリングが可能で、一回の充電で1週間使用でき、大規模なデータ容量を有している。このStudy Watchは既にプロジェクトベースラインやオーロラスタディ、パーキンソン病関連プロジェクトに活用されている。
Wear OSにGoogle Assistant、Study Watch。そして、ここにFitbitが加わる。ユーザー周りにGoogleソリューションが常にそして自然とある、いわゆる「Ambient Computing」(ユーザーが対象デバイスについて何も知らなくても使うことができる)環境を推し進めるために必要なピースはそろいつつある。