2021年7月、北海道、青森県、秋田県、岩手県の津軽海峡を挟んで点在する17件の縄文遺跡が、「北海道・北東北の縄文遺跡群」として世界遺産に登録された。その機運を得て青森県内各地と函館市で多彩なヘルスツーリズムを展開するのが、「縄文ウェルネス博」(2021年10月~2022年2月)だ。なぜ、縄文でウェルネスなのか。そこには単に世界遺産になったからという背景だけではなく、縄文人が続けてきた健やかな暮らしを現代社会に取り入れたいとの思いがあるという。

世界が認めた北海道・北東北の縄文遺跡群の価値とは?

 コロナ禍により世の中が停滞する中で、2021年7月に届いた世界遺産登録の朗報は記憶に新しいものの、では、どのような理由で世界が認めたのかというその価値をご存じない方は多いかもしれない。それ以前に、縄文時代と聞いて思い浮かべるのは、食料を求めてさまよう原始的な生活ではないだろうか。実際、ひと昔前までは教科書にそう書いてあったのだからいたしかたあるまい。

 しかしながら、今回の登録資産の要となる青森市の「三内丸山遺跡(さんないまるやまいせき)」が1994年に発見されて以来、過去は大きく塗り替えられた。三内丸山では1500年以上、さらには登録を果たしたほかの遺跡群を含めると、紀元前1万3000年頃から約1万年もの間、狩猟、採集、漁労を柱とする定住生活が営まれていたことが分かったのだ。定住は安定したサイクルで収穫を得られる農作が礎……そんな定説とは異なるほかに類を見ない縄文時代の生活が、世界遺産登録につながったという。対象資産が1道3県にまたがったのは、一帯が一つの流れを描く共通の文化圏とみなされたためだ。

 今回の登録にまつわるそんな背景を語るのは、縄文ウェルネス博の主催者の一人、2019年の本連載第2回「『医療費削減』『健康長寿』『地方創生』の一石三鳥なるか」で、ヘルスツーリズムと地域振興との関わりについてお話を伺った、地域づくりプロデューサーの木谷敏雄氏。世界遺産登録エリアと重なる、道南と青森県の連携活性化を図る活動を10年にわたり続ける、「津軽海峡交流圏ラムダ委員会」のメンバーでもある。

ドイツ・バイエル地方のバート・ヴェーリスホーフェン視察で、クナイプ療法を体験する木谷敏雄氏。2022年1月現在、木谷氏が関わった5件がヘルスツーリズム認証プログラムになっている (写真提供:木谷 敏雄氏)
ドイツ・バイエル地方のバート・ヴェーリスホーフェン視察で、クナイプ療法を体験する木谷敏雄氏。2022年1月現在、木谷氏が関わった5件がヘルスツーリズム認証プログラムになっている (写真提供:木谷 敏雄氏)
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その発見が縄文時代の認識を大きく変えた三内丸山遺跡、国宝「合掌土偶」ほか多数の土偶や漆塗りの器が出土した八戸市の「是川遺跡(これかわいせき)」ほか、青森県内では8件が世界遺産に登録された(写真:松隈   直樹、以下注記のないものは同)
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その発見が縄文時代の認識を大きく変えた三内丸山遺跡、国宝「合掌土偶」ほか多数の土偶や漆塗りの器が出土した八戸市の「是川遺跡(これかわいせき)」ほか、青森県内では8件が世界遺産に登録された(写真:松隈   直樹、以下注記のないものは同)
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その発見が縄文時代の認識を大きく変えた三内丸山遺跡、国宝「合掌土偶」ほか多数の土偶や漆塗りの器が出土した八戸市の「是川遺跡(これかわいせき)」ほか、青森県内では8件が世界遺産に登録された(写真:松隈   直樹、以下注記のないものは同)
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その発見が縄文時代の認識を大きく変えた三内丸山遺跡、国宝「合掌土偶」ほか多数の土偶や漆塗りの器が出土した八戸市の「是川遺跡(これかわいせき)」ほか、青森県内では8件が世界遺産に登録された(写真:松隈 直樹、以下注記のないものは同)