上質な睡眠は、健やかな生活の礎。前回に引き続き、奄美大島最南端、未来の世界自然遺産登録が期待されるエリアに立つリゾートホテル「THE SCENE」の「快眠体質プラン」と、運営するフュービックが考える未来の旅の形について語りたい。

 フュービックは「もみ処らく屋」「Dr.stretch」「ゼロヨガ」など、2020年2月現在、国内外に計140軒のヘルスケア専門店を有し、着実に展開を広げている。代表取締役の黒川将大氏は、ヘルスケア産業が活性化する背景をこう語る。

 「健康についてきちんと考える方が以前にも増して多くなっている上、最近は感度も上がっているような気がします。ものを買うよりも、経験でお金を使いたいと思う方が増える傾向にもありますね」

癒やし効果を増幅させる豊かな自然の恵み

 前回の記事で紹介したように、THE SCENEの快眠体質プランは、綿密なカウンセリングからリラクゼーションの時間、食事や入浴、ヘッドスパまで、すべてが深い眠りを誘うために考えられている。その導きに沿って筆者は滞在を楽しみ、22時には早々夢のなかへ。明け方にトイレに起きることもあるふだんとは異なり、そのまま朝まで熟睡した。

濃密な緑に包まれた加計呂麻島を前に行われるヨガ。天候によっては客室を利用するが、窓が大きく取られているため、景色を眺めながらの気持ち良さにさほど遜色はない。蛇足ながら加計呂麻島は、「男はつらいよ」で車寅次郎が最後に訪れた楽園である(写真:松隈 直樹、以下同)

 清々しい気分で起きた朝は、食事の前にヨガで体をゆっくり覚醒させていく。近年、ヨガのプログラムを展開する宿泊施設は少なくないが、THE SCENEは奄美大島の美しい景色のなかで海風に吹かれながら行われるのが特徴だ。環境に頼るだけではなく、血流を促して体を活性化させるため、股関節まわりに刺激を与えるポーズを繰り返すなど、ヘルスケア事業で培われたノウハウも生かされていた。

 この快眠体質プランは基本3泊4日で構成され、オプションでシュノーケリングやダイビング、カヤック、サップなどマリンスポーツを楽しむこともできる。もちろん、空き時間になにもせず、のんびり過ごすのもいい。奄美大島の天気は、気まぐれ。一日のなかでも刻々と様子が変わることは少なくなく、それをただ追うだけでも、飽きることはない。

ランチメニューのひとつ、島の郷土料理として知られる鶏飯。奄美大島では欠かさずにいただく美味だが、THE SCENEの澄んだ鶏のスープはやさしく体にしみる圧巻の旨さが記憶が刻まれた。島産の野菜や海藻類がたっぷり使われた朝食は、ご飯のお代わりを欲する食いしん坊な腹と葛藤

 雨の日も多い。それを逆手に取り、雨天の際に行われる「シャワーヨガ」が人気だという話には興味津々。ひと目を気にせずに雨を浴びた、子どもの頃の夏休みの記憶が蘇り心が躍った。ゲリラ豪雨が頻繁に起きる昨今、移動の途中で図らずも雨に濡れることはあっても、それを楽しむ心の余裕はない。奄美大島で温もりを帯びた雨に包まれたら、どんなに気持ちがいいことだろう。

 ホテル前に広がる海では、ウミガメやイルカに遭遇することもあるそうだ。ときには、沖合いからクジラの声が聞こえてくることも。そんな体験ができたなら、豊かな記憶が日常でも幸せな夢を見せてくれるような気がする。