歩く権利法が生んだ全長20万kmの道

 フットパスの全長は、20万km以上。イギリスのどこからでも、このフットパスをたどればロンドンまで歩いて行けるともいわれる。

大人も子どもも犬も馬も歩く。畑の真ん中を行くことも

 興味深いのは、ときに農地や牧場、ゴルフ場、企業の敷地、一般家庭の庭先といった私有地にまで道が及ぶこと。これは1932年に制定された「歩く権利法」に基づいており、古くは17世紀からある人々の憩いのための共有地コモンズが礎になっている。かんたんにご説明すれば、土地の所有者はもちろん、そこに暮らす家畜とともにすべての人が自然を共有し、歩くレクリエーションを楽しむ権利を持つ、という概念だ。

 フットパス以外にも自転車や馬に乗って入れる「パブリック・ブライドルウェイ」、農耕用の車両も通る「バイウェイ」などがあるが、いずれも権利を行使する際には、ゲイトを開けっ放しにしない、周辺を荒らさないなど、マナーを守る義務が生じる。

散策の頼りになる標識。家畜が逃げ出さないよう、造りに工夫がなされた柵状の扉は、人が無理矢理すれ違うと顔がぶつかりそうになることから、「キッスィング・ゲイト」というロマンティックな名がつけられているが、今後の利用には互いの距離間をより意識しそうだ