フットパスの先に待つ小さな幸せの数々

 イギリス国民だけではなく、旅人でも無料で自由に歩けるフットパスには、イギリス随一といわれる美しい景色を誇るコッツウォルズや、大小の湖が点在する湖水地方といった観光地を歩ける道も少なくない。世界各国からウォーキング目的で訪れる旅人は数多く、フットパスはイギリスの貴重な観光資源にもなっていた。

柵にあった表示に従い、農場を進んだところ、牛と密になり「家畜との自然の共有」を体感した筆者。彼らの大きさに圧倒されて冷や汗をかき、なんとか出口を見つけて安堵。こういう意外なウォーキングの場所が、日本にも潜んでいるのではないだろうか

 とはいえ最終的になにかが待ち受けているとは限らず、試練となるような山あり谷ありでもない。とりわけ、最高峰でも1000メートル足らずのイングランドでは、広大な畑や牧場、ゆるやかに連なる丘が続くだけという場所がほとんど。それでもなお、歩く人がいる状況を考えれば、埋もれていた地域の資源を活用することを目的のひとつとする日本のヘルスツーリズムの参考になるようにも思える。

 フットパス専用のガイドマップは数多く出版されているものの、国中にくまなく広がり、ともすれば身幅ぎりぎりの細い道もあるすべてを網羅するのは難しい。地方の小さな村を訪れると、芸術的とも賞賛したい手描きの地図が土産物店などで販売されおり、それなしでは絶対に見逃すような小径を抜けて出会う名も無くも美しい景色は、いくつも胸に刻まれている。