ビヨンドコロナを見据えたジャパンブランドウェルネス

 日本は世界随一の長寿国であり、さらには発酵食を含む和食、温泉といった資源を考えれば、話は沖縄だけにとどまらない。荒川教授はそれを、インバウンドに向けたジャパンブランドウェルネスとして位置づける。

 「たとえば全国津々浦々に何千、何万とある寺社仏閣を宗教の枠組みだけでくくったり、あるいは観光資源としてのみ消費したりというのはもったいなさすぎます。そこにウェルネスという概念を積み上げましょうと、というのが僕の提案。食から芸能、果ては世界遺産まで、今ある観光資源のすべてが、『ウェルネス資源』としてあらたな価値を生み出せるのではないでしょうか」

荒川教授は現在、「コーヒーウェルネス論」を唱え、日本一のコーヒー関連蔵書数を誇る研究室から「沖縄産コーヒー」の発信にも努める。泡盛に関してもまた、「泡盛ウェルネス論」という新しい切り口で取り組んでいる。2021年には翻訳・監修を担う米国のベストセラー書「The Blue Zone」(ザ・ブルーゾーン:著/ダン・ビュイトナー、タイトルは原題)を出版予定

 コロナ禍終息の予測はつかないが、やまない雨はない。インバウンドの観光客は、将来的に確実に日本に戻ってくる。とはいえ、心の有りようは以前と少々異なるに違いない。精神的に疲弊しているのは、世界中、皆、同じだ。

 「ふと立ち止まっていろいろ考えるきっかけができたという点で、コロナ禍は大きな転換期になるのではないでしょうか。誤解を恐れずに言えば、僕はチャンスだととらえたい」

 この連載にとっても、コロナ禍は転換期か。ジャパンブランドウェルネスという非常に興味深い話をふまえれば、ヘルスツーリズムの概念を広げていく必要がありそうだ。というわけで引き続き、各地の様々な取り組みをご紹介していきたい。

(タイトル部のImage:松隈 直樹)