体がなにかを探求をしはじめた森でのひととき

 温泉で寛いだ後の夕食は、糖質控えめが念頭におかれているものの、川の幸、山の幸を贅沢に使った美味揃い。体を動かしたせいか猛烈に空腹を感じ、やさしい味わいの品々をきれいに平らげた。その後は、ベッドに入ったとたん熟睡。テレビが置かれていないことに気づいたのは、翌朝のことだ。

長野県佐久市の名産品である鯉が盛り込まれた夕食のお造り。ノドグロの杉板焼きや鳥のつみれ鍋など、香りで魅せる品も多い
朝食は汁物、だし巻き卵などほぼすべての献立のベースに、野菜のだしを使用。起き抜けの体にすうっとしみるおいしさ

 朝食後は、久しぶりの乗馬。不安を抱えつつの幕開けだったが、馬がのんびりとした性格だったことも手伝い、焦ることなくバランスを模索。ああでもないこうでもないと体を調整するうちに、なんとなくではあるがいつしか背骨と骨盤がいい感じのポジションに落ち着いた。これは体幹が鍛えられている? などと思いながら馬上から爽やかな緑の景色を堪能し、無事に終了!

 だったはずが、鞍をはずした馬にまたがる体験をすすめられる。脳内には「無理!」の文字が躍ったが、スタッフの力を借りて馬の背にしがみつき、なんとかなんとか。ささやかな達成感と馬の肌から直接太ももに伝わってきた実に気持ち良い温もりに、思わず笑顔になった。

馬上から眺める森は、気持ち良さが格段にアップ。鞍をはずした馬の背ストレッチや360度ぐるり向きを変える動きは、体幹を整える効果があるそうだ。内容は客のリクエストや状況により、調整される

 その後も指導を意識してのウォーキングや入浴、指圧を重ね、終了時にはふたたびコンサルテーションと写真撮影。想定していた気楽な内容とは異なったものの、心の充実度は高く、気のせいかほんの少々丸まった背中が伸びたような気も。洒落た雰囲気をまといつつ、質実。星野リゾートの体験プログラムの人気の秘密を垣間見たように思えた。

 森林養生を通し、筆者のように日常的に自分にかかっていた負荷やゆがみに気づく体験者は多いそうだ。「森のなかで動物の存在や木々のざわめき、土の匂いなどを感じることで、豊かさへの感度が上がる効果もあると思います」と金子氏はいう。

わずかながら変化が生じた気がする体験後。滞在中の経験が日常で反映できるよう、各種アドバイスが記された「森林養生読本」が渡される