伝えたいのは生きることの大切さ

 「あの日、もしかしたら人の力、状況判断で守れたかもしれない命がたくさんあったはずなんです。私たちがこの語り部バスで伝えたいのは、命の大切さとそこに向き合うこと。自分で自分を守る、大切な人を守るという思いが生まれるきっかけになればと考えています」

 取材時には300名を超える修学旅行生が参加していたが、震災から間もない頃は子どもたちに見せたくない、聞かせたくないという声もあったそうだ。

 「大人でも関わりたくない、忘れたいという人はいらっしゃいます。多様なご意見はあると思いますが、とりわけ子どもたちには、辛いことや悲しいことを避けるのではなく、あえて向き合い、生きる力、想定外のことが起きた際に自分で決断できる力を得てほしいと思いながら、助かった命、失われた命、人の温もり……南三陸町が体験した様々な例を語っています」

 正しい答えはないとした上で伊藤氏は、それぞれの場所で起きたことを語る。災害時には、多くの人がパニックに陥りがちだが、多少なりとも心構えがあれば状況は異なるとも。

 「災害に関して毎日ずっと考え続けることはできなくても、心の片隅にあるだけでも、いざというときの判断、行動、決断する力は違うのではないでしょうか。さらには物がない、水が止まるといった状況下では、ふだんから健康を心がけることも重要だと気づかされました。そういう意味でも、日々の積み重ねが大事。人が協力して助け合わなければならないのはコロナ禍も同じだと実感したなど、改めて思ったことも伝えています」

語り部バスでは、南三陸ホテル観洋が所有する旧高野会館を訪れる90分コースも選べる。館内はほぼ当時のまま残され、津波の威力のすさまじさを実感できる。被災当日は老人会が開催されており、スタッフの機転で屋上に避難。多くの命が守られた
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語り部バスでは、南三陸ホテル観洋が所有する旧高野会館を訪れる90分コースも選べる。館内はほぼ当時のまま残され、津波の威力のすさまじさを実感できる。被災当日は老人会が開催されており、スタッフの機転で屋上に避難。多くの命が守られた
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