前回に引き続き、星野リゾートのウェルネスへの取り組みについて語りたい。

 2019年12月現在、グループが抱える宿泊施設は40軒。ハイエンドに位置する「星のや」、温泉旅館の「界」、子ども連れのファミリー層も楽しめるリゾートホテル「リゾナーレ」ほかのブランドに分かれる施設は、多種多様な体験プログラムで多くの滞在客を魅了し、リピーターを生む力にもなっている。

スタッフの使命は地域の魅力を伝えること

 2017年頃からは、心身ともに健康であることを意味するウェルネスを強く意識する方向へと舵が切られたが、「それにより今まで以上に多彩なコンテンツが各種プログラムに取り込めるようになり、環境や地域の食文化、伝統文化の素晴らしさなどを伝えやすくなった」と話すのは、グループの要的存在「星のや軽井沢」総支配人・金子尚矢氏だ。

 ブランドごとに表現の術は異なるが、星野リゾートの各施設がそれぞれに“使命”として大切に思っているのは、地域に根付き、その魅力を発信していくこと。各施設のスタッフは、まだ知られていない地元の魅力を見出し、プログラムのアイデアを提案していく。

 そんななかで体の健康だけではなく豊かな心を育むという観点からすれば、美味や自然環境を堪能したり、文化にふれたりするひとときもまた、ウェルネスにつながると金子氏は話す。実際、星のや軽井沢では果物、日本酒、きのこ、保存食など、信州の多彩な恵みを主役として健やかな時を過ごすプログラムが続々と登場している。

星のや軽井沢の秋の朝食を彩る、きのこたっぷりの鍋。旨いのはもちろん、馥郁たる香りがたまらない(写真:松隈 直樹、以下同)

 冬の澄んだ青空のもと、気球のフリーフライトを楽しむ「絶景バルーンステイ」も、ウェルネスをベースに生まれたプログラムだ。上空から見た信州の景色が心を打つのはもちろん、寒風のなかでのひとときの後に温泉につかれば、寒暖の差による血行の促進にもつながりそうだ。