世界最長寿の地・香港を語る上で欠かせないのが、東南アジア出身の外国人家政婦(香港での英語表記はForeign Domestic Helperで、略してFDH。広東語表記は外傭)。家事全般に加え、子育てと高齢者介護の大部分を担っており、日本でも潜在的な需要が高く、参考にすべき点が多い貴重な労働力だ。

今回は前後編にわたり、その受け入れ制度や現状、関連サービスをお伝えしたい。前編である本稿では、筆者自身が香港に来てから14年間利用していた実体験も含めた、香港でのリアルな外国人家政婦事情をお話したい。

 日曜日に香港の街を歩いたことがある人なら、中心部の歩道橋や公園などのいたるところで、多数の東南アジア出身の女性たちが、段ボールやビニールマットなどを敷いて座り、一日中、食べたり飲んだり、おしゃべりに興じていたりする光景に驚いた経験があるだろう。彼女たちこそが香港家庭の生活を支える住み込みの外国人家政婦たちで、この歓談が貴重な息抜きの時間になっている。

毎週日曜日は、外国人家政婦の休日。フィリピン人は中環、インドネシア人は銅鑼湾と、集まる場所が決まっている。たいていは屋根のある歩道橋などに段ボールやマットを敷いて、友だちと1日中過ごす。現在コロナ禍の規制で屋外で2人以上での集まりが禁止されているのだが、取り締まりは厳しくないようで、かなりの大人数グループもいた(写真:筆者が撮影)

 現在人口約752万人(2019年)の香港には、その約5%にあたる39万人以上の外国人家政婦が滞在している。そのうちフィリピン人とインドネシア人がそれぞれほぼ半数を占めるほか、タイ人、ネパール人も少数ながらおり、その約98%が女性である。