本コラムは、世界最長寿を突き進む香港の“ヘルスケア”事情を、現地在住13年の筆者に深堀りしてもらう連載ですが、番外編として本稿から数回に分け、筆者が見た香港における「新型コロナウイルス」対応の様子をお伝えしていきます。(Beyond Health編集部)

 「SARSがまた来るらしい」という噂を最初に聞いたのは2019年の年末だったろうか。反政府運動と警察の衝突が泥沼化していた香港で、12月の地区選挙で民主派が圧勝したことで、やっと街に明るさが戻り始めていたところだったので、「そんな泣きっ面に蜂のようなことがあっていいのか」と半信半疑だった。

 徐々に武漢の惨状が伝わり始めたとはいえ、1月25日からの旧正月を迎える準備で街に華やぎが見えてきて、過去半年の壮絶な不景気で青息吐息だった飲食関係の友人たちも「最近客足が戻り始めた。旧正月後はもう大丈夫だ」と安堵の表情を見せていたのだ。

 残念ながら、1月25日から始まる旧正月を目前にした1月22日に、中国本土からの観光客2人が香港初の新型コロナウイルス感染者となってからは、そんな希望的観測はあっという間に崩れ去った。日に日に感染者が増えていき、大型イベントは次々とキャンセル。街からはすっかり人が消えた。

全校一斉休校をどう受け止めたか

 1月27日、「全学校一斉休校」の通達が教育省から届いた。香港では旧正月を含めた1週間は毎年休暇になる。その終盤に休暇が延長される形で休校になったのを皮切りに、2週間や1カ月ごとに延長されていき、現在のところ春休みにあたるイースター休暇が終わる4月20日までの延長が決まっている。

公園の遊具にはテープが貼られて使用不可になっている(写真:筆者が撮影、以下同)

 我が家の次男はインターナショナルスクールに通う高校三年生で受験生。学校の授業内容が5月の最終試験に直結する仕組みであるため、休暇延長の1週間後には学校がオンライン授業を開始して現在に至り、先生も生徒もすべて自宅から参加している。先生との対話が普段の授業のようには行かないものの、無いよりはずっとましという状態で、このまま進めるしかないようだ。去年にも反政府デモで荒れた時期にも休校があったので、彼の高校三年はほとんど学校に通えず終わってしまうのは残念で仕方ない。

 ちなみに休校の知らせとほぼ同時に、ディズニーランド、オーシャンパークなどのテーマパークや、博物館、美術館、スポーツ施設から近所の公園の遊具まで、休暇中の子どもが行きたいような場所が一斉に閉鎖になった。香港マラソンも旧正月のパレードの中止も即断即決。その後、3月のアートバーゼルが中止になってオンライン開催となり、ラグビーセブンスは延期など、香港の経済を支えるはずの大きなイベントが次々と変更されている。

1月26日から無期限で閉園中の香港ディズニーランド