漢方薬からの抽出成分でコロナ感染防止

 2020年初頭にコロナ禍が始まってから、コロナウイルスに対して何らかの効能がある漢方薬を調査してほしいとの依頼を政府から受けたというツィム教授。多数の薬草を研究した結果、シナモン、ウツボカズラ、クローブなど13種類の薬草由来成分を割り出した。

 「コロナウイルスの表面にはスパイクタンパク質と呼ばれる突起があり、これが呼吸器系の細胞表面にあるACE2受容体(アンジオテンシン変換酵素II)と結合することで人体に侵入する。特定の漢方薬成分には、スパイクとACE2を包み込む機能があり、物理的に両者の結合を阻止できることを証明できた」とツィム教授。

漢方薬由来の成分が、コロナウィルスの細胞内への侵入を防ぐ作用原理を解説した資料。 左上紫の突起がスパイクタンパク質だ。資料提供:カール・ツィム教授
漢方薬由来の成分が、コロナウィルスの細胞内への侵入を防ぐ作用原理を解説した資料。 左上紫の突起がスパイクタンパク質だ。資料提供:カール・ツィム教授
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 この研究結果を活用した製品をつくることで、人々の助けになりつつ、漢方薬の応用範囲の広さを世に示すこともできる。しかしコロナのようなパンデミックに限定した商業製品の開発には、大きなリスクがある。

ツィム教授との共同開発で活躍するキャット・レイ氏
ツィム教授との共同開発で活躍するキャット・レイ氏
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 「医薬品として販売するには、香港では食物及衛生局から承認される必要があり、多数の検査を経るため、市場に出るまで平均3年はかかる。その頃には抗コロナのニーズがなくなっている可能性が高い。そこで考えたのがウェルネス業界との協力だった」

 ツィム教授が「アロマセラピーとの融合を進めれば、迅速に製品化して市場に出せる」と声をかけたのが、知人を通して知り合ったレイ氏。自らのブランドを立ち上げて、従来のアロマセラピーの範疇を越えた商品やサービス開発に精力的に取り組んでいる人物だ。