医療券はこう使う!高齢者ユーザーの実例

 夫との死別をきっかけに、30年暮らした米国から娘の住む香港へと、2006年に移住した譚金愛さん(84歳)は、「車社会の米国と違って、香港では徒歩で気軽に近所の診療所に行けるし、薬代も、米国での1日分(約600円)が香港の半年分と圧倒的に安くてありがたいです。夫を失ってからの孤独感で鬱になりかかっていたのが、手厚いケアですっかり回復して元気になりました。香港に来て寿命が延びた気がします」と喜んでいる。

譚金愛さんの行きつけの中医学クリニック。近所に多数のクリニックがある中、こちらを選んだ決め手は「先生が親切で、必要以上のものを売ろうという態度がまったくなかったから」(写真:筆者が撮影、以下同)

 そんな譚さんは、もちろん医療券も有効活用している。週に1回は必ず訪れるというのが、自宅から徒歩3分ほどにある林棟樑先生の中医学クリニック。

 香港では、たとえば高熱などはっきりした不調で対処療法が必要な場合は西洋医学のクリニックに向かうが、不定愁訴や軽い不調、病気の予防と体質改善には東洋医学と、自分の状態に合わせて東西のクリニックを使い分ける人がとても多い。2018年時点で、医療券を利用できる登録施設の34%が中医学クリニックで、西洋医学クリニックの32%を上回り、最多となっている(※1)。

中医学クリニックでの問診は、患者の脈を測り、舌の状態を見ることから始まる

 譚さんは、主に慢性的な消化不良の症状緩和を目的に、このクリニックを訪れている。「とはいっても、母の場合、とても優しい林先生やクリニックのスタッフと、定期的におしゃべりしに行くのが楽しみというのも大きいのですけどね」と笑う娘の譚艷光さん。