喫煙対策に有効なのはやはり増税?

 政府主導による香港の喫煙対策が始まったのは、英国領時代の1980年代から。英国での施行に続いて、植民地だった香港にもそれが適用されることになったのだ。

 当時の喫煙対策に決定的な影響を与えたのは、実は1881年に当時の国立がんセンター研究所疫学部長だった平山雄博士が英国で発表した、ヘビースモーカーを夫に持つ非喫煙女性の受動喫煙に関する、通称「平山論文」だった。林教授自身にも、この論文がその後のキャリアのインスピレーションになったという。

 「香港で喫煙者を減らすための施策として、最初に実施されて最も効果的だったのは、何と言ってもタバコ税の増税です。初めて導入された1982年にはタバコ税がいきなり3倍になり、その後も増税が繰り返された10年間に、喫煙率が8.4%落ちました。政府は税収が一気に増えますし、禁煙したい人には決定的な抑止力になりましたから、まさに一石二鳥でした」

香港でのタバコ税導入と喫煙率の変化(図:林大慶教授の資料を基にBeyond Healthが作成)

 その後10年ほど動きがなかったが、2007年以降に再び増税とその他の喫煙対策が講じられた。1982年に23.3%だった喫煙率は、2017年には10%(15歳以上、Census and Statistics Department)まで縮小し、年々減り続けている。

 実は筆者が香港に渡ったのは2006年後半なので、2007年から「全ての屋内にある職場や公共の場での全面禁煙」が香港で始まったことは記憶に強く残っている。これにはレストランやカフェも含まれるので、当初は喫煙者の反対の声も聞かれたが、いつの間にか当たり前になり、香港では飲食店のテラス席=喫煙席のような存在になっている。

香港のスモーカーに居心地のいい喫煙所は用意されておらず、オフィス街でスマホ片手に立ちタバコが最近の典型的スタイル(写真:筆者が撮影、以下同)