日本人にとって耳が痛い指摘だが…

 日本でも2019年7月に受動喫煙対策法が成立し、2020年7月から全面施行と聞いて、筆者も香港とは10年以上の開きがあったことを実感している。林教授は「差は20年以上ついているし、日本では効力が弱く、タバコを吸いやすい環境になっている」と言う。

 「医療のレベルや健康的な食生活など、ともに高水準の日本と香港で、現時点で平均寿命に差が付きつつある原因として、科学的に厳密に証明はされていないものの、統計上明らかなのが、この喫煙対策の違いです。今では減っていて欲しいものですが、タバコの自動販売機がいたるところにあって、子どもでも簡単に買えてしまうのは、世界中で日本ぐらい。香港では男性の喫煙率が日本の約半分。そして香港女性の喫煙率は1980年代でも5%、現在は2%台と常に低いのです。日本では男性の喫煙率が減るかわりに、女性や若者については年代によっては増加していることもあり、その辺りの変化と、平均寿命の順位の入れ替わりはリンクしているのではないかと感じています」

 「香港の長寿」について語るとき、私も含めて日本のメディアでは、漢方や太極拳など、ロマンチックでミステリアスな側面だけについ焦点を当てがちだ。もちろん他にも様々な要因があるにしても、日本人にとって耳が痛い指摘にも、やはり耳を傾けて行かなくてはと襟を正す機会になった。

(タイトル部のImage:筆者が撮影)