がんゲノム医療でも患者まで届けるUXが大事

 さて、本稿のテーマであるがんのゲノム医療について考えてみよう。がんのゲノム医療では「がん遺伝子パネル検査」が主に行われ、ステークホルダーは検査と同じであり、治療において薬剤の選択まで考えると製薬企業も入ってくる。がんゲノム医療をサービスとして考えると、がん遺伝子パネル検査の結果をどう伝えるか、が重要な点となる。がんゲノム医療では、専門の医師から構成されるエキスパートパネルで議論されるため、検査の結果は「医師向け」「エキスパートパネル向け」に伝えることがメインとなる。そのため、検査結果は医師が分かる報告書、レポートが発行されることになる。

 UXの視点で考えると、「エンドユーザー」、最終的な受益者の立場も考慮に入れてサービスをデザインしていくことが求められる。がんゲノム医療の場合、最終的な「エンドユーザー」としては「患者」ともいえ、患者にどう伝えていくのかも重視されるべき点となる。さらに体験全体として考えると、患者に加えて「患者家族」も含めてデザインしていく必要があるだろう。つまり「患者」まで届けるUXが大事となる。

図2● 医師向けレポートと患者さん向けレポート

 がんゲノム医療のUX、患者まで届けるUXのためには、検査結果を患者も理解できる工夫、検査結果を医師が患者に説明をしやすくする工夫などが大切になってくる。ゲノム自体の専門性が高いため、全ての患者が医学やゲノムを勉強しきることは難しいものの、実際に自らの受けた検査が何であり、その結果がどういうことが分かり、どういう治療の可能性があるのか、あるいは現時点ではないのか、などをきちんと分かることが大事である。今後は、このような患者視点も入れた検査結果、レポート、分かる工夫などが臨床の現場に求められていくのではないだろうか。


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