矢内廣氏による緊急メッセージ
新型コロナで打撃を受けた舞台芸術を立て直すために

 矢内氏へのインタビュー後、新型コロナウイルス感染拡大により、ライブ・エンタテインメント産業は大きな痛手を受けました。矢内廣氏による緊急メッセージを掲載します。

【矢内廣氏(ぴあ代表取締役社長)緊急メッセージ】
ライブ・エンタテインメント産業を立て直すために
~中小、個人の事業者に十分な金銭的な救済を~

ライブ・エンタテインメントの市場規模は年間約9000億円(2019年・推計)です。これに対して、新型コロナウイルスの影響で、5月末時点で3300億円を超える損失が生じようとしています。これほどの公演中止や払い戻しは、私の事業の経験の中でも初めてのことです。

(写真:鈴木愛子)

我々は「ぴあアリーナMM」(横浜市)を建設し、もうすぐオープン予定でしたが、そのめども立っていません。しかし、ハコがあるだけではライブ・エンタテインメントは成り立ちません。一つのコンサートの舞台裏では、数百人が動いていることもあります。そして、この業界の多くは資金力に乏しい中小事業者や個人事業主で成り立っているため、十分な休業補償がない今のままでは、新型コロナウイルスの問題が収束しても業界は再び立ち上がることはできません。

日本のライブ・エンタテインメント市場は、この10年で1.8倍にまで拡大しました。特に音楽コンサートでは2.5倍です。さらに都市周辺の音楽フェスなどで計測した場合、音楽イベントの経済波及効果はチケット売上の10倍以上に相当します。ライブ・エンタテインメントは中央・地方を問わず、経済活性化の大きな起点ともなるのです。何より、古くから多くの人々を感動させてきた舞台芸術は、人類の大きな財産でもあります。今、それが失われてしまうかもしれない危機的状況にもかかわらず、残念ながら諸外国に比べて、日本における文化・芸術・エンタテインメントへの評価は非常に低いと言わざるを得ません。

ライブ・エンタテインメント業界は、どの業界にも先駆け、公共性を優先して自粛を決断しました。自己犠牲を受容して、自らの判断で自らの事業を止めたのです。そういう意味では、真っ先に支援されてしかるべき業界であろう思いますし、政府に対しては、中止した公演の製作費・経費などの実損に対して、その5~8割程度を補助する助成金制度を求めています。同時に、来るべきイベント再開のタイミングに向けた、スキルやパフォーマンスの維持に必要な練習や準備コストの補助制度や、再公演の経費を対象とした助成金に加え、国民のライブ・エンタテインメントへの回帰策として、1万円未満のチケットで2000円、それ以上なら3000円分の購入代金を補助するといったわかりやすい仕組みも必要でしょう。内需拡大のために、いかにこの分野が大きな役割を担っているかを、引き続き粘り強く訴えていきたいと思っています。

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