ジャンルを問わず、世の中に新しい価値を創出したDisruptive Innovator(破壊的創造者)の生の声をお伝えする新コラム「Disruptive Innovators Talks ~新たな価値の創造者たち~」。第5回は、2011年に日本初・国内最大級のクラウドファンディングサービス「READYFOR」を立ち上げた米良はるかさんが登場します。

2010年に米国に留学した米良さんは、クラウドファンディングによって、たくさんの個人が資金を調達していることを知ります。それからわずか1年後、国内初のクラウドファンディングサービスを立ち上げました。

米良さんは、「誰もがやりたいことを実現できる世の中をつくる」というビジョンの下、日本で新しい寄付文化やお金の流れを創造してきました。これまでに累計140億円を超える支援が行われています。最近では、クラウドファンディングの仕組みを活用しながら、企業のSDGs支援や、新型コロナ関連の支援のための基金を立ち上げるなど、新しいお金の流れを、個人から社会へと広げ始めています。

米良はるか(めら・はるか)
READYFOR創業者/代表取締役CEO
1987年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。2011年に日本初・国内最大のクラウドファンディングサービス「READYFOR」の立ち上げを行い、2014年より株式会社化、代表取締役 CEOに就任。World Economic Forum(世界経済フォーラム)のグローバルシェイパーズ2011に選出、日本人史上最年少でダボス会議(世界経済フォーラムの年次総会)に参加。現在は首相官邸「人生100年時代構想会議」の議員や内閣官房「歴史的資源を活用した観光まちづくり推進室」専門家も務める(写真提供:READYFOR)

新型コロナウイルス感染症対策で、素早く新サービスを立ち上げていますね。

米良 私たちがコロナ関連で一番初めに始めたのが、2月の末に立ち上げた「新型コロナウイルスによる中止イベント支援プログラム」*1です。

 中止イベントの主催者の方を対象にサービス手数料なし(決済手数料5%のみ)で申込を募りました。クラウドファンディングを気軽に使っていただいて、少しでも被った分の損害の補填につながってほしいなということでスタートしたプロジェクトです。

プログラムへの反響はいかがでしたか。

米良 反響はすごくよかったです。まず、イベントの主催をしていらっしゃる方々に「クラウドファンディングという手段があるのか」ということを知っていただけたのが、よかったと思っています。


注)
*1 新型コロナウイルスによる中止イベント支援プログラム

「寄り添う手段」としてのクラウドファンディング

米良 それから、READYFORがこのタイミングでこのプログラムを立ち上げたことで「自分の周りの大変な人たちを救える手段ができたのがよかった」と言っていただくことも多かったですね。クラウドファンディングという手段が(大変な状況の人や困っている人に)「寄り添う手段」としても存在するんだということをお伝えできたかなと思っています。

「新型コロナウイルス感染症:拡大防止活動基金」*2では7億円以上のお金が集まりました。

米良 コロナ禍でお金が必要なところはいろいろあるんですが、その中でもやはり医療機関は、感染を食い止め、あるいは、患者さんをサポートするという意味でも、体制を整えなくてはいけない。エッセンシャルワーカー、フロントラインワーカーと呼ばれるような医療従事者やライフラインに関わる仕事をしている方々にも、最前線でお金の心配なく活動し続けていただきたいと考えていました。

 そんな思いから、クラウドファンディングで基金にお金を集め、それを通じて助成していく仕組みを、我々で整えさせていただきました。

インタビューはオンラインで行われた(オンライン会議システムの画面キャプチャ―より)

基金の成果をどのように評価していますか。

米良 今回のコロナ禍では、「医療従事者をサポートしなきゃいけない」といったニュースがメディアにたくさん流れました。けれど、どうサポートしていいのか分からない──。そんな方が多かったんじゃないかと思います。そんな無力感を感じている方が多い中で、寄付する側の皆さんに対しても、よい窓口になれたのかなと思っています。寄付をする、サポートをするという形で、少しでも自分の大事な社会を守っていけるかもしれない。そんなふうに思っていただけたのではないでしょうか。

 あるいは、飲食店の支援などもやらせていただきましたが*3、自分がすごく好きなお店が本当に大変な状況で、それを守る手段というものが多分今まではなかったけれど、今回、クラウドファンディングという手段によって、「自分の大事なものを少しは守る手伝いができた」と感じていただけたのではないか。クラウドファンディングの使われ方がすごく広がったというか、皆さんの心を通わせる手段になったのかなと思います。

READYFORが企業ミッションとして掲げる「想いの乗ったお金の流れを増やす」ということへの理解が深まったと言えるかもしれません。

米良 はい、そうだと思います。寄付というと、今まではどうしても「崇高なミッションの下に」といったイメージだったと思うんです。

 けれど今回は、周りの人には価値が伝わっていないけど、自分にとってはすごく大切なものが、突然コロナによって奪われようとしている状況になったわけですよね。なので、それぞれの人が、自分にとって大切なものを守りたいという気持ちで、クラウドファンディングに寄付していただけたんじゃないでしょうか。


注)
*2 新型コロナウイルス感染症:拡大防止活動基金

*3 日本商工会議所と連携した「地域飲食店応援クラウドファンディングプログラム みらい飯」など