『五体不満足』で知られる乙武洋匡氏。最近では、義足や義手を使って「歩く」ことに挑戦する「乙武義足プロジェクト」に取り組んでいる。新しい挑戦を続ける乙武氏が考える健康論や注目するヘルスケア領域のビジネスは──。

「乙武を歩かせたらインパクトがあるんじゃないか」

小柳津林太郎氏(以下、敬称略) 2019年11月に上梓された『四肢奮迅』を読ませていただきました。メインテーマとして描かれていた、現在進行中の「乙武義足プロジェクト」について、あらためて教えて下さい。

乙武洋匡氏(以下、敬称略) これまで、機械が人間の膝を代替するのは非常に難しいと言われていました。しかし、ソニーコンピュータサイエンス研究所の遠藤謙さんという義足エンジニアの方が、人の膝の機能を再現できるモーターを開発。それを組み込んだ義足の実用化に向けて動き出したことがすべての始まりです。

乙武氏(写真:植田 翔、以下同)

 その義足があれば、両膝がない人でも歩けるようになるかもしれない。多くの人に希望を与える可能性があるプロジェクトを、どうやったら世の中に広く伝えていくことができるのかと考えたとき、「乙武を歩かせたらインパクトがあるんじゃないか」と言うことで、私に白羽の矢が立ったんですね。本格的に歩行の練習を始めたのが2018年の4月なので、プロジェクトはまもなく2年を迎えます。