医師と患者の双方にメリットがある枠組みが必要

 以上の結果を踏まえると、オンライン診療の恒久化の議論が出ている中で、「かかりつけ医」によるオンライン診療は、患者が最も求めている形であり、2030年のあるべき医療の姿であると考える。その実現に向けては、患者に対してかかりつけ医を持つことのインセンティブを付与すること、一方でかかりつけ医にとってはプライマリケアを担うことにメリットがあることの、両輪が必要であると考える。

 かかりつけ医機能の評価に関しては、診療報酬の中でも、機能強化加算という、患者の在宅医療をサポートする医療機関を評価する枠組みがある。もともと、オンライン診療は、通院が困難な患者への遠隔医療の提供が起点となり議論が進められきたため、かかりつけ医の機能評価には、在宅療養を支援する医師や医療機関の負担に応じるという目的があった。ただし患者側からすると、同じ診察なのに機能評価の加算要件を満たす医療機関で受診すると、診療報酬が高くなり、自己負担が増えるという印象を持ち、違和感を感じさせる側面もあった。

 今回の新型コロナウイルス感染症拡大による措置で、利用シーンが広がり、医療機関には通院できるが、仕事との両立で治療を中断してしまった患者や、通院の時間的負荷を減らしたい患者のオンライン診療の利用も増えている。患者が本人の希望でオンライン診療を選択する場合においては、患者にとってもメリットがあり、そのメリットに対価を支払う理由もある。

 オンライン診療の受診に、かかりつけ医であることを条件とするなど、患者がかかりつけ医を持つことのインセンティブにも繋がる仕組みを設計し、その医療を担うかかりつけ医に対しても、オンライン診療を含めて地域住民のプライマリケアを支えることへの評価を、診療報酬の枠組みの中で新たに設計することが求められるのではないだろうか。


*1 第8回経済財政諮問会議資料(内閣府、2020年5月29日)
*2 著者が公開情報等を基に集計
*3 実施期間は、2020年9月4日から9月6日と9月17日の計4日間。緊急事態宣言が4月7日に発令された7都府県(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、大阪府、兵庫県、福岡県)に住み、継続的に医療機関に通院している20~60代の男女を対象に実施
*4 「平成29年度 国民医療費の概況」(厚生労働省)を基に算出

(タイトル部のImage:Getty Images)