薬局・薬剤師に求められる「かかりつけ」

 一方で、患者の多数は高齢者で、スマートフォンなどの通信機器に慣れない方も多い。デジタルデバイドを発生させないために、対面でのコミュニケーションで、使い方などをサポートすることも必要となろう。その役割を期待するのは、地域住民の生活圏に拠点を構える薬局・薬剤師である。NRIが9月に実施したアンケート*3では、オンライン診療を受けた患者282人のうち約67%は薬局に行き対面で服薬指導を受けていた。オンライン服薬指導を経験した人の割合は、患者全体のわずか0.4%であった。

 患者が薬局に行く理由は、急性疾患の場合はすぐに薬が必要だからであることだろう。慢性疾患の場合は、送料を払うなら外出のついでに取りに行くと考える患者が多いと見る。この結果を踏まえると、薬局は、地域医療にとってリアルで患者接点を持ちやすい地域医療拠点で、患者にとっても身近な場所になっているといえる。

 オンライン診療やDTxだけでなく、デジタルヘルス集中改革プランのもと、健康保険証としてのマイナンバーカードの利活用や、マイナポータルを介した保健医療情報の閲覧、電子処方箋の運用など、データやICTを活用した医療政策が推進されている。国民全員が、デジタル技術のメリットを享受するためには、患者との丁寧なコミュニケーションが必要だと考える。

 薬局・薬剤師にも、患者の健康や治療を良く知る「かかりつけ」機能が求められており、調剤という“モノ”を扱う業務から、“ヒト”(患者)とのコミュニケーションを重視する対面業務の強化が謳われている。2020年9月1日の改正薬機法により、服薬フォローも義務化された。2030年には、薬局が地域医療の窓口となり、オムニチャネルで患者接点を構築し、対面と非対面、アナログとデジタル、双方の利点を活かしたベストミックスで、次世代医療提供体制が構築されていることを期待する。


*1 2019年にアステラス製薬が日本・アジアでの戦略提携を締結し開発を進めている。

*2 正式名称は「ニコチン依存症治療アプリ及びCOチェッカー」。

*3 実施期間は、2020年9月4日から9月6日と9月17日の計4日間。緊急事態宣言が4月7日に発令された7都府県(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、大阪府、兵庫県、福岡県)に住み、継続的に医療機関に通院している20~60代の男女を対象に実施。

(タイトル部のImage:Getty Images)