地域住民がボランティアで作る教室が次々誕生

 なるコミで開催している教室は、フラダンス教室やウクレレ教室、卓球教室、将棋教室、ヨガ教室など、その種類は多岐に渡る。

 教室を企画し始めた当初は、同病院の医師たちが疾患について話す会や健康教室のようなものを検討したが、開催することはなかった。宇都宮氏は、「医療に関心が高い人しか来てくれないし、医師も負担が増えたなど活動にネガティブな印象を持つようになるかもしれないと思った」と理由を語る。

 唯一病院関係者が講師となっているのは、「なるコミ体操」と呼ぶ、同病院の理学療法士が行う体操教室だ。なるコミで一番最初に立ち上がった企画でもある。宇都宮氏は、「当院のリハビリテーションの宣伝になればいいと思った」と狙いを語るが、体操教室は宇都宮氏の想像を超える人気を博し、開始後1カ月以内に30人ほどが集まった。参加者が腕を広げられないほど多くなったため、別の曜日にも体操教室を始めることになった。この別日の教室が、地域の居場所作りの第一歩ともいえる取り組みになった。

2020年末、緊急事態宣言前に開かれた認知症カフェの様子

 もう1日体操教室を開催することになったが、同病院の理学療法士が週に2日も講師を務めるのでは負担が大きくなってしまう。そこで、ボランティア講師を探すことになった。見つかったのが、地域のスポーツ連盟に所属する70歳代の男性だった。地域のボランティア講師に、なるコミ体操よりもちょっとハードな、体を鍛えたい人向けの体操教室を開催してもらうことになった。「最初は片足立ちもできなかった人が、今では片足で立って浮かせた足で、あいうえおが書ける」と宇都宮氏は言う。始めてみると、周辺地域から教室の開設希望者が次々に現れ、いくつもの教室が立ち上がっていった。