地域の居場所作りが病院の経営にも寄与

 なるコミ自体の採算性については、各教室への参加費は1回100~500円程度で、単体で見れば大きな収益を生み出すわけではない。開設費用が8000万円近くかかっている上、建物のメンテナンス費や人件費もかかる。しかし、法人全体で見れば、なるコミが収益に貢献している部分は決して小さくなさそうだ。

 まず、住民や地域の医療機関、介護事業者からの同病院へのイメージが変化したことで、紹介患者が増え、ベッドの回転率が上がり始めた。退院後も含めた健康増進、リハビリに力を入れていることなどが評価され、急性期病院を退院する際の転院先として選ばれることが増えた。また、子連れの人がなるコミを訪れるようになってからは、病院の予防接種数が大幅に増加。地域包括ケア病棟では、在院日数を短くするために地域の医療・介護職との連携が欠かせないが、地域での病院の知名度が上がり、退院調整も柔軟に行えるようになったという。

 特に大きいのは、なるコミ開始前から受診者数が2.5倍に増加した生活習慣病予防健診などの健診事業だ。いつもは1000円で提供している薬膳ランチは、宇都宮病院の生活習慣病予防健診や人間ドック利用者には無料で提供している。「薬膳ランチが付くことと、胃部レントゲン検査がバリウムではなく胃カメラであることから人気を博し、常に予約でいっぱいの状態」だと宇都宮氏は言う。

コミュニティー施設の運営が、病院の経営にも寄与した

 「住民と接点を作り、5年後、10年後の患者が増えれば」との考えで始めたなるコミだったが、知名度や信頼感向上といったメリットが表れるのは早かった。もちろん、なるコミだけの効果ではないが、なるコミ開設後の宇都宮病院の新規患者数、事業収益はともに右肩上がりで、財務面も良好だという。