捨てられる生花の再資源化から着手

 人事異動から独立するまでの半年間、福寿氏は「スポーツから離れて自分が何に興味があるのかを考えよう」と様々な知識を吸収していた。そのうちの1つが、フラワーアレンジメントなど花に関する勉強だった。福寿氏は、通勤途中に毎日前を通る生花店があった。そこで花を見ていると、日ごろのストレスが発散するような感覚があり、花に興味を持ったという。フラワーアレンジメントの資格取得のための教室に通いながら、週末に生花店を手伝って、半年間を過ごした。

 独立し、福寿氏自ら生花店を立ち上げてからは、毎日の業務に追われたが、少しずつ「生花店ができる社会貢献」について考え始めた。「ここで、プロ野球選手ごとに社会貢献を考えていた頃の経験が生きました」と福寿氏は言う。

 最初に取り組み始めたのが、環境問題へのアプローチだった。仕入れた花は、全部使い切ることが難しい。売れ残りという問題もあるが、少しでも傷が付いた花は陳列できないし、そもそも生花店が仕入れる時点ではとても長い茎がついており、これをカットしてアレンジメントすることになる。この茎が、毎日大量に廃棄されていた。こうした捨てられる花を資源と考え、紙を作るプロジェクトを開始した。小ロットで紙を制作してくれる業者を探すのは難しく、100社ほど連絡して実際に会えたのは3社ほどだった。

原宿店のカフェ奥にある生花スペース

 その後、何とか見つけた業者と花から作った紙で名刺を作ったり、スケッチブックとクレヨンをセットにして販売したりとプロダクトを出していくと、百貨店にも置いてもらえるようになった。福寿氏は、「名刺100枚につき、花5本が再資源化されます。独立から約1年がたち、物が売れることで社会課題にアプローチできるものがようやく生み出せたと思いました。売り上げがあればまた再資源化ができます。このサイクルができて初めて、形になったという実感がありました」と言う。