特別支援学校での教育実習が生きた原体験

 他にも生花店が社会貢献できるアプローチはないか。そう考えていたところ、ある障害者施設でフラワーアレジメントのレッスンをしてほしいという依頼が舞い込んできた。障害を持つ当事者向けにレッスンを開催してくれるところがあまりないとのことで、福寿氏のところに来た依頼は数カ所目の打診のようだった。

 実は福寿氏は、特別支援学校の教員免許を持っていることもあり、レッスン講師の仕事を引き受けた。その施設には、片手だけが使える身体障害を持つ人や、一度統合失調症を発症したときに会社を退職して2~3年就職活動を続けている人など、様々な当事者がいた。レッスンを始めてみると、当事者たちの多くは福寿氏の想像以上に良い手さばきで、「うちのお店を手伝ってほしい」と本気で思ったと言う。

 福寿氏は、大学3年のころ、免許取得のために特別支援学校で教育実習を行っていたころ、同学校の卒業生が一般企業に就職する割合は約15%ということに驚いた覚えがあった。「自分も就職活動と向き合っている時期だったので、まず働くこと自体が難しかったり、就職先をこんなにも選びにくいことが衝撃でした。保護者の方にもお会いしたこともあり、お子さんたちの就職がもっとしやすくなったり、選択肢が広がればいいなと思いました」(福寿氏)。この原体験もあり、福寿氏はこの施設にいた1人の当事者Aさんを、実習生として会社に受け入れることになった。会社を設立して3年がたとうとしていた。