設立4年で就労継続支援A型への転換を決意

 Aさんを実習に受け入れたことで、福寿氏の心境は大きく変わった。会社を3年ほど運営してきて、主要メンバーは3~4人だったが、人を雇用する大変さは身にしみていた。売り上げのほとんどは人件費となり、自分の給与はなかなか出せない状態が続いていたのだ。

 福寿氏は、「このころは、会社を運営するってなんて大変なんだ、人を雇用するのは苦しいことだと思っていました」と言う。しかし、Aさんと働いたことで、給与を渡すときに本気で感謝されたり、「自分にできる仕事を取ってきてくれてありがとう」と言われたことで、人を雇用することの素晴らしさを学んだ。そこで福寿氏は、設立4年目に入り、障害などによって就労困難な人の雇用を担う会社に切り替えること、既存店舗を就労継続支援A型にすることを決意した。

 切り替えるタイミングで、元いたスタッフたちは去って行った。福寿氏にとって、スタッフに切り替えを反対されるのは予想外で驚いたが、お互い譲れない意見があり、たもとを分かつこととなった。就労継続支援A型になって、始めて雇用したのが実習に来ていたAさんだった。

 Aさんは精神疾患の1つを持っており、体力面でめまいがしたり、精神的なところから体調不良が起きることがあるが、そこだけ気をつければ事務作業も電話応対もできる、とても賢い人だった。今も、同社の業務推進チームで活躍しているという。

原宿店は就労継続支援A型の店舗として運営されている

 就労継続支援は、障害者の就労を支援する制度の1つで、A型とB型がある。大きな違いは、雇用契約の有無にある。就労継続支援A型は事業所と雇用契約を結び、最低賃金以上の給与が支払われる。B型は雇用契約を結ばず、作業訓練などで制作した物の成果に応じて賃金が支払われる。

 就労継続支援A型の店舗であるローランズ原宿店は、最低賃金を割る売り上げでは認可が取り消されてしまうので、収入をしっかりと確保しなければならない。「制度を知って、収益性はB型の方がいいなと思いましたが、私は雇用にこだわりたかったので、A型にしました。いつかは就労継続支援に頼らなくても雇用できるようになっていきたいと思っています」(福寿氏)。