社会実装時期を2032年と予測

 医療領域での実用化は、2015年頃から広がってきた。Abbott社が販売するFreeStyleリブレは、糖尿病患者向けのグルコースモニタリングシステムで、日本糖尿病学会のガイドラインで適切な使用方法が掲載され、日本で初めて保険適用*3となったウエアラブルデバイスであろう。痛みを伴わない小さな針(センサー)のついたパッチを腕に貼ると血糖値が測定され、スマートフォンアプリで自己管理を行うことができる。2019年に発売されたオムロン ヘルスケアのHeartGuideは、日本高血圧学会の高血圧治療ガイドラインで家庭血圧を測定する際に使用が推奨されているオシロメトリック法を採用したリストバンド型血圧測定器である。

*3 2017年に「血糖自己測定器加算」で保険適用された。2020年に新たに「間歇スキャン式持続血糖測定器によるもの」が設定され対象となった。

 近年では、スマートアパレルの実用化も広がってきた。東京大学発ベンチャー企業のXenomaが開発したe-skinは、微弱な電流が流れて筋肉を収縮させる機能を持つ衣類である。筋力維持や向上を目的に、スポーツ、介護、リハビリ領域での活用を目指している。東京大学の研究では、ナノシート上に作製された電極で1週間心電計測することに成功した。装着時の負担を軽減させて、長期に生体情報を取得できるため、新たなウエアラブルデバイスへの応用が期待される。

2040年の未来予測―科学技術が広げる未来社会―(Society 5.0)(出所:「令和2年版科学技術白書」、文部科学省)
2040年の未来予測―科学技術が広げる未来社会―(Society 5.0)(出所:「令和2年版科学技術白書」、文部科学省)
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 科学技術予測調査(文部科学省)では、「人の心身の状態を分析しすぐにアドバイスしてくれる超小型デバイス」の技術開発時期を2029年、社会実装時期を2032年と予測している。健康状態が数値化されることが日常の一部となると、見直すべき生活スタイルが、本人にも伝わりやすくなり、体調把握、改善、健康維持のサイクルが定着していく。ウエアラブルデバイスの普及により、2040年には、日常のバイタルデータを活用した定期モニタリングでタイムリーな予防・改善が呼びかけられ、年1回の健康診断や人間ドックで精密チェックをするような、日々の生活の中で自ずと予防医療や健康管理に繋がる様式に変化していくだろう。

(タイトル部のImage:イメージマート)