ファミリー・レス。略してファミレス。年をとったら息子や娘に世話になり、安心して老後を暮らす。そんな頼りになる家族は今の日本にはもうない。ソロ活、おひとり様老後、独居老人、孤立死――。家族から切り離され、一人で老いて死ぬ。それがこれからの日本人の姿だ。多少乱暴な言い方だが、事実である。この有様を「ファミレス」と定義する。ファミレス問題を考える本コラムの第1回目では、筆者が本連載を執筆するきっかけとなった東京・山谷地区の高齢者に対するケアシステムを中心に紹介するとともに、ケアシステムが発展するうえでのキーマンである「きぼうのいえ」元理事長の山本雅基さんの声をお届けする。

ホームレスからファミレスへ

ファミレス問題を考えるきっかけとなった東京・山谷地区の取材をまとめた著書『<a href="https://www.amazon.co.jp/%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0%E5%B1%B1%E8%B0%B7-%E6%9C%AB%E4%B8%A6-%E4%BF%8A%E5%8F%B8/dp/4093888574">マイホーム山谷</a>』。2021年、第28回小学館ノンフィクション大賞を受賞した。
ファミレス問題を考えるきっかけとなった東京・山谷地区の取材をまとめた著書『マイホーム山谷』。2021年、第28回小学館ノンフィクション大賞を受賞した。

 バブル以降、しばらくはホームレスの問題が盛んに議論された。路上生活の原因は主に貧困だ。一億総中流時代は去り、ホームレスは貧困問題を可視化した。生活の不安はホームレスが象徴する貧困層の増加と共に語られた。しかし、現在は頼れるファミリーのなくなった社会の様態「ファミレレス」こそが、生き難さや生活の不安を加速させる大きな要因となっている。

 70歳、80歳を過ぎて、医療や介護なしでは生きていけなくなった時、あなたには頼れる場所や人は存在するだろうか? 

 この問いに即答できなければ、あなたも立派なファミレス予備軍だ。

 結論を先出しすると、ファミレス問題を完全に解決することは不可能だろう。しかし、議論を深めることで解決の糸口くらいは見つけることができるかもしれない。