ご存じの方も多いかもしれませんが、うつ状態と深い関係があると言われているのが、太陽光などの強い光に当たることと適度な運動です。災害などに対する心の健康を支える私たち専門家は、コロナが蔓延し、外出自粛が叫ばれていた当初から、自殺者の増加やうつ病の増加を懸念していました。また、経済が停滞することによる自殺者の増加もこれまでの研究で分かっていたことです。外出自粛ですから太陽にあたる時間も減り、動く時間も減ります。自ずと対人関係は希薄になり、それらによる自信の低下、情報や身体感覚への過敏さが増大することも予測していました。

外出自粛が引き起こす3つの大問題

 私は、中高一貫校の臨床心理士として子どもたちと日々接していますが、マスクをしていることが当たり前になったことによる醜態の不安や引きこもりが驚くほどの勢いで増え問題化されています。この問題は、一般の社会においても同様です。それを引き起こしている一つの要因は、テレワークやオンライン授業によってざわざわいろいろな準備をして外出しなくても仕事や勉強ができることがわかり、通勤や通学などの人ごみの中でストレスを感じながら現地に行かなくても問題ないという「認識の変化」です。それまでは、我慢というある種のリハビリや訓練をしていたので、「ストレス耐性」というものが社会生活のなかで自然と育っていました。それらをしなくてもいいのなら、何故無理にやらないといけないのかという合理的疑問がわくわけです。

 これらは、一見すると合理的な疑問なのですが、体の仕組みからいうと大問題となります。その問題は大きく3つあります。

 1つ目はまず、先ほど言った「ストレス耐性」の低下です。ストレス耐性は、適度なストレス下によって育つのですから、ノンストレスであればそれは弱まっていきます。これは、免疫力の低下にもつながっていくので大きな問題です。

 2つ目は、冒頭でお話した日光を浴びる時間の減少です。連載の1回目でも説明しましたが、太陽光を浴びることで生成される「セロトニン」という神経伝達物質は人の精神面に大きな影響を与えます。「セロトニン」は別名「幸せホルモン」ともよばれており、「セロトニン」が十分に分泌されることによって睡眠の質がよくなり、ストレスをためにくくなるのです。

 3つ目の問題は運動不足です。多くの方が知っている通り、運動不足は生活習慣病を引き起こすだけでなく、成長途中にある子どもたちにとっては成長も抑制してしまうという大きな問題を抱えています。適度な運動は健康を維持すると共に筋肉組織を活性化して成長を促します。適度な運動で汗をかくというのは1つのストレス解消法でもありますが、健康増進やけがの予防、成長促進という意味でも大切なことなのです。

 整理してみるとコロナ禍の3大問題は、「ストレス耐性の低下」「日光を浴びる時間の減少」「運動不足」です。そしてこれらの対策として大切なことは「楽しく」「継続的に」「効果測定などのモチベーションを工夫する」ということです。では具体的にどのようなことが効果的なのか、それをお伝えしていきたいと思います。