様々な形態のコラボレーションを通じて、新しい価値を生みだすプロジェクトを多数手掛ける。2000年にロフトワークを共同創業した林千晶氏は、そんな人物として知られている。MITメディアラボ所長補佐やグッドデザイン審査委員などを務め、デジタルものづくりカフェ「FabCafe」も展開、そんな多彩な領域で活躍する同氏から見た「Beyond Health」と「ヘルスケアイノベーション」とは――。

(聞き手は小谷 卓也=Beyond Health)

ロフトワークの林氏(写真:寺田 拓真、以下同)

Beyond Healthが目指しているのは、業界・業種の枠にとらわれない、あらゆるプレーヤーの知恵の融合による新たなヘルスケアの価値の創造です。これまでに様々な異業種連携やプロジェクトを手掛けてきた林さんは、ヘルスケア領域にどんな印象を持ちますか。

 元々、規制が多い業界だとは思いますが、「こうあるべき」といった独自の“縛り”のようなものがあるように感じます。さらに、その縛りに甘えているような側面もあるのではと思っています。

 だからでしょうか、あまり差異化されていない同じ様なサービスが、当たり前のように存在しているようにも見受けられます。もちろん、人の命にかかわる立場ですから、それなりの規制は必要ですし、嘘や誇張も良くないでしょう。しかし、生活者の目線に立ったときに、どうやったら本質をより伝えることができるのか。そういったことを重視すれば、もっと多様なやり方はあるように思います。

 例えば、「健康」という言葉ひとつを考えてみても、「ヘルスケア」と表現するか、あるいは「ウェルビーイング」と表現するかで、ユーザーのイメージや理解度などは変わってきます。どんな見せ方で世の中の人にアプローチしていくのか。本質は変わらないとしても、さまざまな視点から最適なやり方を選んでいく必要性があるでしょう。