小型の端末でデータを取得し、その場で解析

 AYUMI EYEの最大の利点は「簡単にデータを取得・解析できること」(早稲田エルダリーヘルス事業団 AYUMI EYE事業部 部長の勝山正次氏)。端末を装着して歩くだけで、内蔵した3次元加速度センサーが歩行時の加速度データを取得(図2)。iOSアプリでデータを解析し、歩行能力を数値化・可視化する。

図2●測定イメージ
腰に端末を装着して6~10m歩くと、3次元加速度センサーでデータを取得できる(出所:早稲田エルダリー事業団)

 歩行分析技術には、AYUMI EYEと同様にセンサーを装着するもの、計測機能を持たせた靴を利用したもの、床に反力計を埋め込むもの、モーションキャプチャー技術を利用したものなどがある。例えばモーションキャプチャーなら、骨盤の傾きや膝の曲がり具合、足首の可動域、股関節の開き方など複数の要素を一度に見ることができ、歩行の複合的な特徴を捉えられる。その代わり複数のマーカーを装着しなければならず、赤外線カメラなど大掛かりな設備が必要だ。センサーを利用する技術も、従来は配線が複雑だったり装着具が重かったりという欠点があったという。

 それらに対してAYUMI EYEは、端末の大きさが幅62.4×高さ30.9×厚さ11.8mmで、質量は18.5g。 3次元加速度センサーで踵(かかと)の接地を検出するとともに、それが左右のどちらの踵かを判定する。それらと加速度データを基に、アプリで各評価項目を計算する。このとき「高齢者の歩行を正確に測定できるような工夫も盛り込んでいる」(勝山氏)。

 「若い人は踵をポーンとついて歩くので着地を検知しやすいのですが、高齢者ではすり足のように弱々しい動きになりやすく、検知が難しくなります。すると、歩行の典型的な波形が取れないのです。そこで、上下の加速度と前後の加速度をかけ合わせて検出感度や測定精度を高めています。これによって、モーションキャプチャーに近い精度を実現できます」

 モーションキャプチャーに比べて得られるデータの種類は少ないものの、簡単に高精度なデータを得られて、その場で解析結果を見られるというメリットは大きい。

 使い方は以下の通り。まず、端末とiOS搭載機器をBluetoothで接続し、端末を歩行者の第3腰椎に装着する。歩行者が歩き始め、1.5mほど歩いて加速が終わったところで計測者がアプリの「スタート」ボタンをタップ。歩行者が10歩以上歩いたところで計測者は「ストップ」ボタンをタップする。歩行者は、そのまま1.5mほど歩く。これにより、加速・減速期を除いた6~10mの定常歩行を測定できる(図3)。測定データは自動でiOS搭載機器に送信されてアプリが解析し、その場で点数やマップ表示が可能(図4)。ここまでにかかる時間は約3分だという。

図3●測定画面例
「スタート」「ストップ」ボタンをタップして測定を開始/終了する。歩き始めと歩き終わりを除く定常歩行を測定する(出所:早稲田エルダリーヘルス事業団)
図4●測定データの登録と解析結果の例
測定終了後に「保存」「登録」ボタンを押すと解析結果が表示される(出所:早稲田エルダリーヘルス事業団)

 ソフトウエアはアプリとして提供されているため、測定者は解析の手間がかからない。データはサーバーにも送られるので、パソコンからさまざまなパラメータを確認したり帳票を出力したりできる。