【Case3】ビッグデータを解析、高効果期待できる対象者をターゲットに勧奨

 受診勧奨は有効だが、限られた自治体の財源の中では、費用対効果の高い勧奨が必要だ。そのため、キャンサースキャンでは過去の受診履歴データをもとに、より効果的に勧奨できる人を選定する方法も開発した。

 同社では、八王子市で大腸がん検診の過去の受診履歴データを分析。大腸がん検診の定期受診者、不定期受診者、未受診者の3グループに分け、さらにそれぞれのグループを検診のクーポンを送るグループ(勧奨あり)と、送らないグループ(勧奨なし)とに分けて、その後の行動を分析した。結果、定期受診のグループでは、勧奨のなし、ありでの受診率はそれぞれ87%と92%だったのに対し、不定期受診者では30%と54%、未受診者では2%と11%だった。これらの結果から、受診率の伸びが高く最も勧奨効果が高いのは不定期受診者だということが分かった。未受診者は対象者数が多く勧奨送付の費用が大きく、定期受診者は対象人数が少なく受診者数の増加が見込めないためだ。

 さらに、同様の手法を特定健診の不定期受診者対策にも応用している。自治体が持っている過去の受診歴や、性別、年齢など受診者属性のビッグデータから、AIで翌年の「受診確率」と「受診勧奨に対する反応確率」を算出。受診勧奨による効果が高い人たちをターゲットにお知らせを送るシステムも考案した。

 このほか、「各個人のリスク状況を分かりやすく伝えることで、受診率アップを図る試みもしている」(福吉氏)。八王子市の事例では、特定健診受診時の問診結果から、大腸がんのリスクを各人ごとに表示。「60歳以上」、「飲酒」、「BMI高い」、「運動不足」、「喫煙」、「検診の未受診」といった項目を表示し、当てはまるところにチェックをつけた上で、各項目のがん罹患に対する危険度も示している。これにより、受診率は9%から27%とアップしたという。