2019年12月1日、京都でちょっと変わったハイキングツアーが行われた。主な参加者は60歳以上の8人。今回のツアー、何が変わっているかというと参加者の皆さんが機械の力を借りてハイキングを楽しんでいること。ツアーを主催した近畿日本ツーリスト・クラブツーリズムが見据えるユニバーサルツーリズムの未来形とは。

 京都は寺院巡りもいいが、紅葉の季節は郊外の風景も格別だ。嵐山・嵯峨野を歩いて巡る。車を使えば楽だが、自分の足で歩くからこそ手に入れることができる風景もある。足腰に自信があれば、是非とも挑戦してみたいものだ。しかし、年齢を重ねれば体の自由も効かなくなる。

 ──つまずいて 足元見れば 何もなし──

 シルバー川柳の名作だが、身につまされる人も多いだろう。

 要介護まではいかなくとも、足腰に自信がなくなって外出をためらう高齢者は少なくない。そうした人たちに少しでも「あの頃の自信」を取り戻してもらおうと、クラブツーリズムが奈良市のベンチャー企業、ATOUN(アトウン)と手を組んで行ったのが、着るロボットをつけて臨む紅葉の嵐山・嵯峨野と京都三尾ハイキングだ。

 近畿日本ツーリストとクラブツーリズムを傘下に持つKNT-CTホールディングス 未来創造室の波多野貞之氏は次のように話す。

 「弊社では、『テクノロジーと旅を考える』といった、最先端の技術を取り入れた旅行のあり方を研究しております。実社会とテクノロジーの融合がさらに進むであろう今後に向けて、お客様と一緒に体験価値を作っていこうという流れのなか、今回のようなロボットと旅の融合を考えたのです」

 ツアーに使われたのはATOUNが開発したパワードウェア「HIMIKO」。言わば「着るロボット」だ。

ATOUNの半沢文也氏とHIMIKO(写真:末並 俊司)

 「ロボットといっても大げさなものではありません」と語るのはHIMIKOの開発を担当したATOUNの半沢文也氏だ。

 「歩行支援用の『パワードスーツ』といったほうがわかりやすいかもしれません。本体を腰に巻きつけて、ワイヤーでつないだ膝サポーターを装着します。本体には4つのモーターが内蔵してあり、これでワイヤーを巻き取ったり、緩めたりすることで使用者の歩行を補助します」(半沢氏)