「リハビリではない目標」に人生の可能性を見いだすきっかけに

 Ubdobeはデジリハを通じて、従来のリハビリとはまた異なる新しい未来を展望する。例えばセンサーのデータからプレイヤーの状態を検知し、個々のプレイヤーに適したアプリの遊び方を推奨する、といった利用シーンを描いているという。また、子どもたちの動作のデータを取得しそれを分析することで、子どもたちのリハビリに関する新たな知見を得る可能性も模索している。「データの取得方法など検討事項があるため確定的なことは言えないが、実現に向けて様々な手立てを探っていきたい」(仲村氏)。

 デジリハの企画段階から加わっている中心人物の1人、Ubdobeの加藤さくら氏は福山型筋ジストロフィーの患者の次女を持つ。加藤氏は次のように語る。「通常の子どもであれば、何かを言わなくても勝手に遊びに行くもの。むしろ、遊ぶのが子どもの仕事だ。なのに、(病気や障害を持っている子どもの場合は)療育の必要性があるために、遊びの要素がどうしても少なくなる。もちろん、子どもたちが生活していくためにはリハビリは必要。ならば、リハビリ自体も楽しくできたら良いのではないか、というのが発想の根底にあった。これはデジリハのスタート地点でもあり、また同時にゴールでもある」。

 リハビリは「取り組むべきもの」という前提のもとで議論されることが多い。一方、当事者である子どもたちも、本人の意志というよりは「せざるを得ないからする」という姿勢で、仕方なく取り組んでいるであろうことは想像に難くない。

 翻って、子どもは「楽しい」「面白い」「きれい」と感じられる物事に対して素直に反応し興味を持つものだ。Ubdobeの仲村氏は、「リハビリをすること」に終始しがちな子どものリハビリに一石を投じたいとの趣旨を語る。「デジリハがリハビリの現場に浸透することで、『お友達や兄弟と一緒に遊べるようになりたい』といった、回数や可動域といった数字などではない、子どもらしい目標が子どもたちの内側に芽生えてきたら嬉しい」(仲村氏)。

 子どもたちが喜ぶ新しいアプリの開発も順次進行中だ。試験利用ユーザーからの要望が特に多かった対戦型アプリの企画を進めているという。仲村氏は「複数人で遊べるアプリが増えれば、リハビリに取り組む子どもたち同士の交流が促される可能性がある」と展望する。

(タイトル部のImage:patpitchaya -stock.adobe.com)