次世代医療基盤法が施行されて1年8カ月。健康・医療に関する先端的な研究開発や新産業創出を促進することを目的とした事業が、いよいよ本格的に動き出す。その事業の基盤を担う「認定匿名加工医療情報作成事業者」(以下、認定事業者)の第1号として、一般社団法人 ライフデータイニシアティブが2019年12月19日に正式認定された。これを受け、同法人は医療機関の診療情報を収集・匿名化して、研究機関や企業などに有料で提供する新たな二次利用モデルの取り組みを開始した。

 「ようやくスタートラインに立てた。認定が1年以上遅れたことによる負債状態から脱し、やっと収益事業を本格化できる」――。ライフデータイニシアティブ(LDI) 代表理事の吉原博幸氏はこう心境を語る。

LDI 代表理事の吉原氏(写真:加藤 康)

 「ようやく」と感慨を込めた理由は、認定事業者の申請から認定までに多くのハードルを越えなければならなかったことがある。監督官庁である内閣官房とやり取りする間に、セキュリティーや資金・事業計画など認定要件の敷居がどんどん高まったという。「何度も申請内容の追加を求められ、最終的に申請用紙は2000ページを超えた」(吉原氏)。

 そもそも、認定事業者とは何をするのか。端的に言うと、医療情報の収集と、その匿名化である。

 LDIが実施する事業の基本的な流れはこうだ(図1)。医療機関の電子カルテデータを含む実名の医療情報の提供を受ける。患者が複数の医療機関を受診している場合などは名寄せする。それらを匿名化し、匿名加工医療情報を作成する。この情報を、研究機関や自治体、製薬企業などへ有料で提供する。

図1●実名の医療情報を匿名加工した情報に加工する(図:LDIの資料を基にBeyond Healthが作成)

 今回、実際の匿名加工などの業務はLDIと連携するNTTデータが行うことになっている。NTTデータは今回の事業者認定で、「認定医療情報等取扱受託事業者」という認定を受けた。LDIからの委託により、データ抽出から匿名加工処理、情報システムの維持運用などを行う。

 医療機関に日々貯まる医療情報をビッグデータとして二次利用することは、吉原氏にとって20年以上前から抱いてきた構想だった。2015年には、次世代医療基盤法を見据え、大規模健康・診療データの収集・利活用をテーマとする「千年カルテプロジェクト」を開始している。こうした長年の取り組みの集大成が、認定事業者としての事業モデルというわけだ。