各家庭などの電気やガス、水道の使用量を遠隔で自動的に把握するスマートメーター(次世代検針器)が普及してきた。事業者にとって最大のメリットは、検針の自動化による業務の効率化や検針員不足・誤検針の解消にある。さらに最近ではスマートメーターで集めたデータを社会課題の解決や新たな価値の創造につなげる取り組みも進む。

名古屋市熱田区に本社を置く愛知時計電機は、水道のスマートメーターからの情報を使い、高齢者が身体や認知機能の低下がみられる「フレイル」の状態にあるかどうかを検知する実証実験を2021年12月に開始した。水道だけでなく別の生活データも組み合わせているのが大きな特徴だ。

フレイルは兆候に早く気づけば健康な状態に戻れる可逆性があるだけに、検証結果の行方が注目される。

 スマートメーターは検針作業が不要で手間いらず。またリアルタイムにデータを習得できるので、異常を検知して高齢世帯の「見守りサービス」につなげるなど、全国で多彩なサービスが相次ぎ登場している。よくあるのは、1時間ごとの水や電気の使用量を確認して、不規則な使い方がみられれば、離れて暮らす家族や親族にメールが送られるといった仕組みだ。

 水道やガスメーター大手の愛知時計電機も、3年ほど前から水道メーターのスマート化を進め、高齢者の安否確認サービスを展開してきた。人の生活に密接した「水」の使用量を監視することで、入居者に健康異変が万が一生じた場合、発生よりおおむね1日以内に所定の連絡先へアラート通知を行っている。

 同社はもともと1990年代には水道メーター製造の周辺ビジネスとして、高齢者市場に着目。住宅の水道配管にセンサーを設置して、中に人がいるのに長時間水を使わなかったり、出しっぱなしだったりすると、異変が起きたとして外部に緊急連絡する高齢者緊急通報システムを他社に先駆けて開発した。警報ブザーやガス漏れ警報器などとも連動し、一連の仕組みは特許を取得した。

 ただ、同システムは有線方式のため、新たに配線を確保する必要がある既存住宅への導入は難しく、ニーズは高齢者用集合住宅が新築される場合などに限られた。

 片や、デジタル化されたスマートメーターは無線方式で、わざわざ新しくメーターを交換せずとも、既設メーターに後付けするだけで簡単にスマート化が図れる。そこで愛知時計電機では、ここへ来て既存住宅に対しても高齢者見守りサービスの販路拡大に努め、自治体が街づくりで活用する案件も増えている。

 だからといって同社は歩みを止めなかった。水道メーターを使った高齢者安否確認システムの開発先駆者として、もっと何かできないかと考えたのだ。それが今回の実証実験につながる。