ユネスコ向け文化遺産級の介護食

 プロジェクトの産声があがったのは10年前。摂食・嚥下障害への取り組みは、それまで病院や介護施設によって独自に取り組みが行われていた結果、バラバラで情報の共有や連携の障害になっていた。しかし、積み上げた技術や情報を共有しなければ、大きな発展はない。

 「京都と滋賀の有志が集まって、『京滋 摂食嚥下を考える会』を立ち上げました。その少し前には『ミシュラン京都』が始まり、さらに和食をユネスコ文化遺産にしようとする運動が京都を中心に始まったころでした。つまり、食、特に和食を見直そうとする機運が高まっているころだったのです」

 飲み込みに不安をかかえる人たちでも楽しんで食べることができる食品を作る。そしてどうせなら自分たちが食べても美味しいと思えるもの。そんな食品を作ろうと、プロジェクトは始まったのだった。

 「京都の料亭などに打診するなど、様々なルートで協力を仰ぎました。最終的に手を上げてくれたのが和食をユネスコ無形文化遺産にしようと活動している『日本料理アカデミー』さんでした。2012年から開発が始まり、嚥下食による京懐石がお店で提供できるまでになりました」