「地域の中での幸福感」とは──京都大学・内田教授

 文化心理学、社会心理学を専門として対人関係の重要性や幸福感などを研究してきた京都大学こころの未来研究センターの内田由紀子教授は、「地域の幸福は、文化の中にある価値感に育まれている。そして、文化が生まれる単位としては、もちろん『国』も一つの単位だが、まちや企業といったもっと小さなコミュニティも、いろいろな形で文化の価値を共有している」と語り、「そのまちや企業の中でどういったウェルビーイングをもとめるのか。コミュニティ間の共通性と、地域や企業による差異の両方を考える必要がある」と指摘した。

 内田氏は、地域における幸福の重要な要素を特定したいと考え、測定指標をつくって調査を行っているという。これまでの調査からは、「地域の中で暮らしている人の実感としての幸福感」「地域内の社会関係資本(地域の中での信頼関係など)」「向社会的行動(ささいなことでも地域のために何か提案をすること)」の3つの要素は強く結びついており、循環的で密接な関連があることが分かったと説明した。

(セッションにおける内田氏の発表資料より)
(セッションにおける内田氏の発表資料より)
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 続けて内田氏は、地域との一体感と異質・多様性への寛容さとの関連について、「地域の中で信頼関係がしっかりできていると、人々の地域に対する愛着や一体感が強い。逆に、移住者など外から来た人に対しても『うちのことが気に入って来てくれたんだな』と多様性を受け入れる傾向が強い」と説明。こうした異質・多様性への寛容さが、向社会性行動につながり、ひいては多世代共創につながっていくことを図示した。