なぜ高齢者に麻雀なのか?

 「かなり払拭されてきたとはいえ、マージャンには負のイメージもあります。当教室ではゲームを始める前に『よろしくお願いします』の挨拶を欠かさないとか、同卓者に不快感を与える会話しないなど、マナーの遵守をかなり厳しく行っています」(川島氏)

 おかげで人気は上々。オープン当初から想定以上の登録があったという。その多くが高齢者だ。なぜ今、そうした年齢層に麻雀が見直されているのだろう。

 「マージャンというゲームが脳に良い効果を与えるということが一般の方にもかなり浸透してきているのでしょう」と川島氏は語る。

 実際、2011年に麻雀が脳に与える効果について行われたある調査では、前頭前野機能を総合的読み取るFAB(Frontal Assessment Battery)の数値が有意に上昇したという結果が出ている。

 前出の今村さんも次のように語る。

 「僕は腰が悪くてね。これ以上悪化させないためにも、医者から歩け歩けってうるさく言われてねぇ。でもやっぱりなんとなく億劫になってしまっていたんですよ。ところがある日、女房がこの教室のパンフレットを持ってきてね、『父さんこんなのがあるよ』って。見たら僕にピッタリだからさ、翌日には入会したんだ」

 今村さんの自宅は徒歩圏内だ。週に2回、ゆっくり歩いて10分ほどの距離を、シルバーカートを押しながらやってくる。

 「往復だからいい運動になるんだよ。さらに、マージャンで指先を使うだろ。ここで仲間もできたからおしゃべりするのも楽しいしね」(今村さん)

「麻雀教室以外に外にでるのは病院ばかり」と話す懸雅美さん
「麻雀教室以外に外にでるのは病院ばかり」と話す懸雅美さん
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 今年80歳の懸雅美さんは若いころはスキーやボーリングに汗を流すスポーツウーマンだった。

 「最近は体もあんまり動かなくなってきたけど、脳みそのほうは鍛えたいからここに来るようになりました。他に出かけるところと言えば……」。懸さんはマージャンの点数を数えるように指を折りながら、次のように続ける。「内科でしょ脳外科でしょ、あとは整形外科と歯医者さん、アハハ、病院ばっかりですよ。それでも週に2回、このマージャン教室があるから毎日の生活に張りが出ます」