「働き方改革関連法」が施行されたことを受け、社員の生産性向上の観点から、企業の「健康経営」に注目が集まっている。その活動の一環として、ヤフーが行っているユニークな取り組みの一つに「マインドフルネス研修」がある。実際、どんな中身で、どれだけ効果があるのか。導入を進めた同社グッドコンディション推進室リーダーの中村悟氏に話を聞くとともに、研修の実情に迫った。

 「マインドフルネス」とは、一口に言えば、「現在起こっていることに対して注意を向けている、目覚めている状態」を指す。現状をあるがまま受け止めて平静な精神状態を保つ。その結果、ストレスが軽減され、生産性が上がるとして、近年、米国のエリートの間で流行。米グーグルやアップルなど世界の名だたる企業がマインドフルネスを社内研修で導入している。

ヤフーにマインドフルネス研修を導入した中村氏(写真:剣持 悠大)

 ヤフーがマインドフルネス研修を開始したのは2016年夏。米グーグルが編み出したマインドフルネスの能力開発メソッド「Search Inside Yourself」(SIY)を参考に、中村氏が独自のプログラムを作り上げた。中村氏によると、SIYはマインドフルネスに基づくエモーショナルインテリジェンス向上のプログラムで、大きく①マインドフルネス ②自己認識 ③自己管理 ④モチベーション ⑤共感 ⑥リーダーシップ──という6つの要素に分かれ、トレーニングを通じてそのスキルアップを図っていく。

 ヤフーでは当初、マインドフルネス研修を社員のリーダーシップ向上のために活用していた。自己認識とコントロールがしっかりとでき、自分が何をしたいかがはっきりしている人がリーダーになることで、その人のポジティブな影響が組織にも広がるという見地に立ってのことだ。

 その後、研修の導入から2年が経過した2018年8月に効果測定をしたところ、マインドフルネスをやっている人といない人では、業務のパフォーマンスに違いが見られることが判明した。具体的には、出社していても何らかの不調のせいで頭や体が思うように働かない「プレゼンティーズム」の数値を見たところ、研修の経験者は未経験者に比べて、業務パフォーマンスが20%高く、さらに週3回以上の実践者と未経験者を比べると、およそ40%もの差があった。その結果、今では、社員が何らかの不調に陥ることのないよう、社員の健康増進も企図して研修を実施している。「現状のコンディションを客観的に知ってもらい、そこからメリハリの利くようなパフォーマンスにつなげてもらえれば」と中村氏は言う。