驚くほどリアルな歯科医訓練用ロボット

歯科医の訓練用として開発されたデンタロイド(ロボットです!)
歯科医の訓練用として開発されたデンタロイド(ロボットです!)
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 全国に数千社あるといわれる宗像神社の総本山・宗像大社が鎮座することで知られる福岡県宗像市。その地に本社をおくのがソワンの開発元であるテムザックだ。

 あっと驚く発想で様々なタイプのロボットを開発してきた同社は、業界では知られた存在だ。企画本部副部長の松尾潤二氏はこう語る。

 「弊社はもともと船舶内で使われる魚の加工の製造ラインなどの製造を行う会社だったのですが、93年に本社を移転した際に、受け付け用のロボットを開発しました。製品化するつもりはなかったのですが、これが話題となり、除々にロボット製作の相談案件が舞い込むようになり、2000年にロボットメーカーとしてテムザックを設立することとなりました」

 産業用のロボット、つまり工場などの製造ラインで活躍するロボット以外、例えばソフトバンクの「ペッパー」のような製品を一般にサービスロボットとカテゴライズする。テムザックはこの分野にこだわりを持っている。

「例えばAI搭載の会話できるデバイスなども世に溢れていますが、弊社はあくまでも3次元のロボットにこだわっています。介護、医療、製造、建設など様々な現場で求められる機能を過不足なく備えたサービスロボット。弊社ではそれを『働くロボット』と呼んでいます」(松尾氏)

 前段で紹介したソワンもまさに働くロボットの一つだ。同社は他にも介護医療の分野で活躍するロボットを世に送り出している。

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 歯科医師の練習用として開発された「デンタロイド」は歯科医師業界とロボット業界の両方をあっと言わせた。「歯科を学ぶ学生のための歯科患者ロボットなのですが、とにかくリアルにとことんこだわりました」と松尾氏は胸を張る。

 言葉の通り、同製品はゾクッとするほど人に近い。今にも起き上がって話しかけてきそうな生々しさを持っている。それもそのはず、外側は「ラブドール」で知られるオリエント工業が担当した。

 「身長157センチメートルの女性をモデルに、瞼、眼球、顎、舌、首、手、脈、胸(呼吸)の合計12カ所が駆動します。瞬きもするし、眼球もキョロキョロします。また痛さを表現するために首を振ったり、咳をさせたりすることもできます」(松尾氏)

 歯科医師の学校では通常、上下の顎だけのモデルを使って治療の訓練を行うのだが、「模型は動きませんが、実際の患者は反射的に動いたり、痛がったりします。しかし実践練習できる機会が少ないんです」(松尾氏)。

 痛ければ首をふって嫌がる。歯の治療中で声が出せないときは、腕を上げて意思表示を表現する。よりヒトに近いリアルな反応が歯科を学ぶ学生たちの技術向上に役立てられている。現在、国内外の医科・歯科の大学で13体が活躍中だ。