介護から街乗りまでをカバー

 車椅子の概念を根底から変えてくれそうなのがユニバーサルモビリティの「ロデム」だ。

 「椅子の高さを自由に変えることができる電動の車椅子です。下肢に麻痺などの障害がある場合、ベッドから椅子への移乗は高さが違うためにひとりではなかなか難しい。ロデムは椅子の高さを変えることができるので、乗り移りも楽。さらに、体の重心を前に持っていける構造なので、日常の生活がより楽に行えるのです」(松尾氏)

 通常の車椅子は、背もたれ側に重心があるため、利用者が体を前に乗り出すと転倒の危険がある。例えば顔を洗おうとして、洗面台に向かって前のめりになるとバランスが崩れてうまくいかない。そもそも車椅子では低すぎて、蛇口に手を伸ばすこと自体が困難な場合もある。

椅子からの移乗を試みる松尾氏
椅子からの移乗を試みる松尾氏
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 いっぽうロデムは椅子の高さを変えることができ、前かがみでもバランスが崩れない構造になっているので、前傾姿勢での台所仕事やデスクワークがより行いやすい。

 「発案したのは弊社社長の髙本陽一なのですが、たまたま椅子の背もたれを前側に持ってきてテレビを見ているときに『これだ』と思いついたデザインなのです。日常生活は、体勢を前かがみ気味にして行う作業が圧倒的に多い。それを可能にするロデムは単なる移動のための車椅子ではなく、生活のための補助ロボットと言えるのです」(松尾氏)

 全体のデザインをスタイリッシュに仕上げることで、街乗りに使っても違和感のないものとなっている。前段で紹介した高山商事の高山堅次氏も、テムザックのこうした先進性に目をつけて、ソワンの開発を依頼したわけだ。

 今後、日本はさらに医療・介護の負担が増える。ワークシェアリングの概念はヒトとヒトの間だけで考えていたのではおぼつかない。時代はロボットとのワークシェアを本気で考える段階にきている。

災害現場で働くロボットたち、名付けて「援竜」
災害現場で働くロボットたち、名付けて「援竜」
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(タイトル部のImage:末並 俊司)