血管を直接肉眼で観察できる唯一の場所である眼底。眼底の血管は全身の血管の健康状態を反映するため、高血圧や動脈硬化などを見つける手がかりとなる。糖尿病の合併症である網膜症などの病気も発見できる。そのため眼底検査は、人間ドックの検査項目に組み入れられ、多くの健診センターなどが実施している。ただ、健診センターに眼科専門医が在籍していない場合も多く、眼底画像の専門医読影を外部に依頼することが多い。

そうした健診センターなどの読影依頼に応える、新たな遠隔読影サービスが2020年2月に開始された。眼底画像の一次解析にAI(人工知能)を用い、読影医が診断結果を回答するクラウド型の眼科画像診断支援サービスである。開発したのは自治医科大学発ベンチャーのDeepEyeVision。同大学発ベンチャー認定制度の第1号だ。同月、ソフトバンク子会社でAIに特化したインキュベーション事業を行うディープコアと、シード特化ファンドのINDEE Japanから資金調達を実施したばかり。同社 CEOの髙橋秀徳氏とCTOの近藤佑亮氏に話を聞いた。

誰も乗ってこないなら自力で…

 自治医科大学 眼科学講座に所属していた高橋氏が、DeepEyeVisionを起業したのは2016年。AI技術の一つである深層学習が人の画像識別能力を超えたことを知り、2015年に深層学習の研究を始めたという。「眼科診療は眼球を検査機器で観察したり、撮影した画像で評価したりする。画像識別能力が人を超えたとされるAIの応用製品を欲する眼科医は多いはずと考えた」(同氏)と振り返る。

DeepEyeVision CEOの髙橋氏(写真:加藤 康)

 当初、髙橋氏は研究していた画像識別のAIを眼底カメラで使用してはどうかと、カメラメーカーに提案していたという。しかし、「なかなか製品化の話が進まず、自力でソリューションとして開発することにした」(同氏)。こうして今回のサービスは誕生した。