自己主張や気分転換、TPOへの配慮に外見のお悩み解決──幅広い目的から多くの人にとって欠かせないのが「メーク」(化粧)だ。とはいえ、巷には大量の製品と情報があふれ、その中から“意中の一品”を選び出すのは容易ではない。こうした課題に向け、化粧品とユーザーとの出会いの機会をぐっと広げようという場がJR山手線原宿駅前に登場した。化粧品コミュニティサイト「@cosme」などを展開するアイスタイルによる化粧品販売の実店舗「@cosme TOKYO(アットコスメトーキョー)」である。2020年1月10日にオープンした現地へ行ってみた。

JR山手線原宿駅前の「@cosme TOKYO(アットコスメトーキョー)」
店舗は3階構成で、2階部分の壁面はデジタルサイネージを設ける。「ギャップフラッグシップ原宿」の跡地に当たり、写真右側のビルには「マツモトキヨシ 原宿駅表参道口店」が入居する。写真左側は建設中の商業施設「ウィズ原宿」で、2020年4月には資生堂の美容施設「ビューティ・スクエア」などがオープンする予定。日本独自ファッション文化の中心地だった原宿は、さらにコスメの中心地にもなりそうだ(写真:筆者が撮影、以下同)

価格差約10倍の製品が同じ土俵に

 実際に店舗を訪れると、一般的な化粧品販売店に比べて3つの特徴があると感じた。1つは、販売チャネルを越えた幅広い製品ラインナップと、それらを同等に扱う点だ。テーマに「ユーザーとブランドの出会いを作る」を掲げる同店舗では、スーパーで売られるプチプラ(低価格品)から百貨店販売のラグジュアリーブランドまで多様なブランドの製品をそろえつつ、いずれもセルフ方式により自由にテスターで試用できる。「@cosme」はネット掲示板方式で多種多様な製品についてユーザーが自由に評価するクチコミサイトだ。同店舗はその“リアル版”と言える。

 象徴的なのが、ネットの@cosmeで高評価を得ている製品をまとめて試せる「テスターバー(TESTER BAR)」だ。同店の1階と2階には、アイテムごとに製品をまとめた複数のテスターバーが点在している。

試用コーナーに注力
各ブランドごとの什器に加えて、アイテムごとにブランドを横断して製品を展示するテスターバーが店内に点在している
口紅の試用コーナー
写真は「リップ」(口紅)の試用コーナー。展示品のうち、最も低価格だった「セザンヌ ラスティング リップカラーN」は480円(税別)、最も高価格だった「イヴ・サンローラン ルージュ ヴォリュプテ シャイン」は4100円(税別)/4300円(税別)と表示されていた

 例えば、口紅を集めた試用コーナーでは、プチプラの代表ブランドでドラッグストアやスーパーで売られる「セザンヌ」(セザンヌ化粧品)の口紅から、百貨店カウンターに置かれる「イヴ・サンローラン・ボーテ」(仏ロレアル)の口紅まで、18製品がズラリと並んでいた。ネットのクチコミ同様、価格差約10倍もの製品を同じ土俵に並べる。

 ネットと大きく異なるのは、他人による評価に加えて、その場で試用し自分に合うかどうかを確認できる点だ。価格を含めて品質や感触などを気軽に吟味できる。なおテスターが置かれている製品は一部を除いて同店で購入できる。ブランドを超えた比較から気に入った製品を即購入できるという仕組みも、ネットでの体験に近いと言える。

使い捨てのチップやパフを充実
左からファンデーションなどを塗布するパフ(スポンジ)、アイシャドウなどを塗布するチップ、グロスやリップを塗布するチップ。リアル店舗ならではの試用体験に向けて、使い捨てながらも使いやすさにこだわるなど充実させた

 また、製品陳列にも力を入れている。製品自体は一般のドラッグストアや百貨店で扱う製品と同じだが、陳列方法やPOPによるコメント、さらにはメーカー・ブランドをまたいだ組み合わせ方によって店舗としての独自性を打ち出している。

手描きPOPで紹介
2019年に@cosmeで高評価を得た製品をまとめたコーナー。手描きPOPで製品特徴をアピールすると同時に各製品のテスターが用意されており、ユーザーは自分にとっての感触を確認できる。ドラッグストアで見慣れた製品の良さを再認識したり、入りづらい百貨店カウンターの製品を気軽に手に取ったりできる

 例えば唇の荒れ・乾燥対策に向けた展示では、潤いを強調するグロスだけでなく、保湿用のリップクリームや不要な角質を落とすスクラブ剤、唇にふっくら感を出す美容液などを組み合わせて展示する。同店舗では、百貨店や専門店、ドラッグストア、バラエティーショップと様々な流通で扱われている製品が並ぶため、“ガサガサ唇対策”という同様の目的ながら好みの価格帯や機能の製品を選べる。

「ガサガサ唇 卒業しませんか?」との言葉とともにリップ関連製品を陳列
グロスはもちろん、唇用の美容液や保湿剤、スクラブなどをまとめて陳列する。おなじみ「ニベア」(ニベア花王)からコーセーなどの高級ブランドまで一緒に並べられる
トレンドメイクの要を紹介
「これさえおさえておけば、間違いなし!」とうたう、今時らしい製品を集めたというコーナー。POPによって今時らしさのポイントや、各製品の特徴が理解できる。ここでも定番のプチプラコスメから人気の高額限定品までが並ぶ