裾野市、静岡大学サステナビリティセンター、静岡大学情報学部、静岡県弁護士会が共催した先端学術シンポジウム「裾野市の未来とスマートシティ-AIと法の観点から-」(2021年2月28日オンライン開催)。開催プログラムのうち、裾野市のSDCC(スソノ・デジタル・クリエイティブ・シティ)構想に関連して、同構想を進める際に問題となる個人情報をはじめとするデータ利活用のあり方をテーマにしたパネルディスカッションについてリポートする。


<参加者>
一般社団法人シビックテック・ラボ代表理事 市川博之氏(コーディネーター)
弁護士 浅井裕貴氏(静岡県弁護士会所属)
裾野市みらい政策課係長 長田雄次氏(市のSDCC構想の担当者)
静岡大学情報学部准教授 狩野芳伸氏 研究領域はAI(人工知能)、自然言語処理など
静岡大学サステナビリティセンター長 堂囿俊彦氏
同センター教授 朱曄氏

パネルディスカッションの参加者。上段は浅井氏(左)と長田氏(右)、中段は市川氏(左)と狩野氏(右)、下段は朱氏(左)と堂囿氏(右)(シンポジウムのオンライン画面より)
パネルディスカッションの参加者。上段は浅井氏(左)と長田氏(右)、中段は市川氏(左)と狩野氏(右)、下段は朱氏(左)と堂囿氏(右)(シンポジウムのオンライン画面より)
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 「市民が選択できる自由と管理社会の違い」「データ利活用で市民との合意形成を図るために考えるべきこと」「個人情報の取り扱いルールはどうあるべきか」──。ディスカッションでは、SDCC構想をはじめとするスマートシティ推進のカギを握る個人情報データの活用についての3つの「お題」が提示され、それぞれのお題に対して、各参加者が発言していく形で意見交換が行われた。パネリストの主な発言要旨をまとめた。

選択肢をつくる時点から市民に参加してもらう

■お題1
SDCC構想を加速させるために、市民が選択できる自由と管理社会の違いについて市民が意識するべきことは?

堂囿俊彦氏(静岡大学サステナビリティセンター長)
 選択できるというときに、与えられた選択肢が本当に適切なものなのか。それだけが選択肢なのかということを批判的に考えることが大切。例えば、親が子供に「2つのゲームのうち好きな方を選んでいいよ」といったとき、選択肢が漢字力アップゲームと計算力アップゲームの2つだったとしたら、どちらか1つは選べるけれど、結局は管理されていることになる。そういった批判的な視点を持って、選択肢をつくる場面から市民に関わってもらうことが重要になる。

浅井裕貴氏(弁護士)
 市民の側としては、「企業に個人情報をわたすことでより便利になるということもある」という考え方があることを認識してもいいのではないかとは思う。とはいえ、自分の個人情報がどのように扱われるのか不安に思うのは当然のこと。市民の側としては、「自分の個人情報がどのように扱われるか、もっと分かりやすく説明してほしい」と企業に積極的に求めることが重要だ。

静岡大学サステナビリティセンター長 堂囿俊彦氏(シンポジウムのオンライン画面より)
静岡大学サステナビリティセンター長 堂囿俊彦氏(シンポジウムのオンライン画面より)
弁護士 浅井裕貴氏(静岡県弁護士会所属)(シンポジウムのオンライン画面より)
弁護士 浅井裕貴氏(静岡県弁護士会所属)(シンポジウムのオンライン画面より)

朱曄氏(静岡大学サステナビリティセンター教授)
 管理社会は古くから存在しており、そうした社会では、(統治者が)法律・ルールを人々を統治・管理する道具として使用してきた。さらに、最近では(街角の)カメラ映像やセンサーなどの最新技術が統治を強化する道具として利用されている。一方で、統治・管理に使われるこうしたツールは、例えば、新型コロナの追跡アプリを強制的に利用させることで、感染拡大を防ぐ効果が得られるといった(プラスの)側面もある。だが、自由を重んじる社会では、社会の構成員たちが協議してルールを策定することが基本。SDCC構想におけるデータ利活用についても、最新技術の可能性を認識したうえで、みんなで協議してルールをつくって実装していくことが望ましい。