堺市(大阪府)は今、「SENBOKU スマートシティ構想」を進めている。堺市健康寿命延伸産業創出コンソーシアム(SCBH)は2021年3月24日、「『SENBOKUスマートシティ構想』産学公民未来共創シンポジウム~大阪・関西万博を見据えたまちとヘルスケアの未来~」と題したシンポジウムをオンラインで開催。堺市の永藤英機市長が構想について講演した。

大阪府堺市の永藤英機市長。泉北ニュータウンのスマートシティ構想を発表した(写真:オンラインイベントのキャプチャー、以下同)
大阪府堺市の永藤英機市長。泉北ニュータウンのスマートシティ構想を発表した(写真:オンラインイベントのキャプチャー、以下同)
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 スマートシティというと、先進技術を活用した未来的な都市というイメージがある。しかし、SENBOKU スマートシティ構想は「課題解決型」なのだという。

 同構想の中心地となるのは、泉北ニュータウン。これまでベッドタウンとして発展してきたが、街びらきから53年が経過し、現在は高齢化率が36%と極めて高くなっている。「全国の高齢化率が35%を超えるのは2040年とされているので、20年先を行っているという状況」と永藤氏は語る。この泉北ニュータウンを課題先進地域と定め、住民がより豊かに暮らせる環境作りのためにスマートシティを目指す。

 泉北ニュータウンは都市部からほど近く、難波駅から電車で約35分、関西国際空港からバスで約1時間と主要な駅や空港へのアクセスも良い地域だ。それでいて自然が多く残っており、周辺に田園もあって農産物の地産地消ができるエリアだという。ここにコワーキングスペースやテレワークオフィス、公園といった職住近接の生活ができる環境を整備している。

 「Live SMART, Play SENBOKU」というコンセプトのもと、ヘルスケア、モビリティ、コミュニティ、リモートワーク、エネルギーのテーマを設定。構想は現在策定を行っており、近いうちに公表し、スタートする予定だ。今後は実証プロジェクトを積極的に進め、取り組みを増やしていくという。

「SENBOKU スマートシティ構想」は「Live SMART, Play SENBOKU」というコンセプトを掲げている。民間と連携し、5つの分野で暮らしを豊かにする取り組みを行う
「SENBOKU スマートシティ構想」は「Live SMART, Play SENBOKU」というコンセプトを掲げている。民間と連携し、5つの分野で暮らしを豊かにする取り組みを行う
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 永藤氏は「全国のニュータウンが同じような課題を抱えている。この泉北ニュータウンの課題解決の取り組みは全国のニュータウンの参考になるのではないか」と語った。

民間事業者との積極的な連携を進める

 堺市の取り組みの特徴の一つは、民間事業者との積極的な協力だ。2020年7月に「さかい・コネクテッド・デスク」という専用の窓口を用意。民間からの提案を受け取りやすくした。事業者は担当部署が分からなくても相談しやすくなり、市は情報を一元化・共有することで政策課題の把握をしやすくなる。市長自ら呼びかけを行ったこともあり、これまでに約50社の事業者と実証プロジェクトの協議をしており、実際にプロジェクトの実施に至った例も6件あるという。

民間との連携のため、新しく窓口として「さかい・コネクテッド・デスク」を設置。スマートシティに向けた実証プロジェクトを推進している
民間との連携のため、新しく窓口として「さかい・コネクテッド・デスク」を設置。スマートシティに向けた実証プロジェクトを推進している
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 永藤氏は、実施中のプロジェクトの例として、ヘルスケア分野では音声記録を利用した認知症の早期発見、加齢性難聴の高齢者が声を明瞭に聞き取れるようにするマイク・スピーカーシステム、AIを利用した栄養管理アプリなどを紹介した。

(タイトル部のImage:patpitchaya -stock.adobe.com)