「伸びる伝導体」──聞いただけではピンとこないかもしれない。ただ近い将来、我々の生活を変える力を持つ素材だ。伝導体とは、簡単に言うと「電気を通すもの」。伝導体でありながらゴムのように伸びるし、紙のようにクシャクシャにすることもできる──そんな画期的な発明が今後、医療・介護に対しても大きなインパクトを与える可能性がある。この分野で注目されるベンチャー、Xenoma(ゼノマ)の代表である網盛一郎氏に伸びる伝導体が作る新しい世界について聞いた。

 「韓国製の折り畳めるディスプレーを搭載したスマホが話題ですが、我々が取り扱っているのはその次の世代の技術です」

Xenoma代表の網盛一郎氏(写真:末並 俊司、以下同)

 東京大学発ベンチャー企業のXenoma(ゼノマ)は、これまでにない新しい技術「プリンティッド・サーキット・ファブリック(布状電子回路基板/PCF)」の分野 でトップを走る。代表の網盛氏が見せてくれたのは、ゴムのように伸びるのに、電気を通す不思議な素材だ。

 「引っ張ってみてください」(網盛氏。以下「」内は全て網盛氏)

 言われるまま、指先でつまんで伸ばしてみた。その弾性はまさにゴムの感触だ。

 「伸びるだけでなく、くしゃくしゃに丸めることもできるのに電気を通す。この素材が何を可能にするのかというと、"柔らかい回路"を作ることができるようになったわけです」

 柔らかい回路? なるほど、未来の臭いがしてきた。

銀色の部分が伸びる回路、触感はまるでゴムのよう

 「我々はこれをPCFと表現しています。布のような基板ってことですね。一般的にはプリンティッド・サーキットボードですけど、我々はこれを布でやっている。伸び縮みするから身につけても気にならない。関節に貼りつけたとしても可動域を制限することもありません」