最近、メディアなどでもよく見聞きする「SDGs(エスディージーズ)」。2015年に国連サミットで採択されたSustainable Development Goalsの略称で、「持続可能な開発目標」を意味する。貧困や飢餓、健康・福祉など全部で17のゴールを設け、2030年までの目標達成を目指している。

このSDGs達成に向けた活動が認められ、医療機関として初めて「ジャパンSDGsアワード」を受賞したのが、産科婦人科舘出張(たてでばり)佐藤病院だ。同院は、群馬県高崎市で江戸時代から続く老舗病院。活動の司令塔である佐藤雄一院長は、その12代目に当たる。約270年にわたって地元の産科医療を支えてきた伝統ある病院は、いかにしてSDGsという21世紀のグローバル目標に貢献することになったのか。キーワードは「女性」「栄養」「次世代の健康」だ。

 「ジャパンSDGsアワード」は政府のSDGs推進本部が2017年に創設したもので、持続可能な開発目標達成に向けて優れた取り組みを行う企業や団体を表彰している。産科婦人科舘出張佐藤病院(以下、佐藤病院)は2018年、第2回「SDGsパートナーシップ賞(特別賞)」を受賞した。「すべての女性が健康である社会づくりに、女性の生涯にわたる専門病院として貢献」――。これがアワード受賞の選出ポイントとなった。

 佐藤病院が取り組むのは、思春期から成熟期、更年期、シルバーエイジに至るまで、女性の全世代をカバーする産婦人科ならではの活動だ。たとえば妊婦への栄養指導、妊娠出産に向けて体づくりをする「プレコンセプションケア」、そしてそれに特化した東京・日本橋オフィス街でのクリニック開院、女性アスリート外来やウェルエイジング外来の開設、子宮頸がん予防啓発のための「高崎美スタイルマラソン」の開催、産後ママ支援、女性の健康についての出張講義や出前セミナー、若い世代を対象にした街の保健室、性暴力被害の相談受付など、多岐にわたる(図1)。

図1●佐藤病院が展開するSDGsの取り組み
江戸時代から続く女性専門病院として、赤ちゃんからシルバーエイジまで全世代の女性を支援する活動を地域や企業、自治体、教育機関などと連携を取りながら進めている(出所:佐藤病院)

 佐藤雄一院長は次のように語る。

 「産婦人科医になった頃から日本が抱える一番の問題は少子化と考え、それに歯止めをかけたい一心で女性の健康・体づくりに取り組んできた。最初からSDGsを目指していたわけではないが、これまでの活動を振り返ってみたら、SDGsの理念に重なるものが多いことに気づいた。自分たちが一生懸命にやってきた活動の一つ一つが、結果としてSDGsという言葉に集約されたと解釈している」

佐藤院長(写真:稲垣 純也)

 多彩な活動を次々に展開する佐藤病院だが、なかでも特筆すべきは低出生体重児の減少を目的にした妊婦向けの「栄養指導」だ。低出生体重児とは、体重が2500g未満で生まれる赤ちゃんのこと。日本では1980年代から増加し始め、今では約10人に1人が該当する。これは先進国の中では突出した高さだ。「実際、当院でも2002年頃から小さな赤ちゃんが増えてきたと感じていた。2500gを下回らない場合でも、全体的に出生時の体重は減っていた。その背景にあったのが、若い女性の痩せ願望と過度なダイエットだった」と佐藤院長は語る。